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大量生産とサステナビリティの矛盾

新型コロナウイルスが猛威を振るう前、アメリカのトランプ前大統領は、自国の産業競争力を取り戻すため、自動車など主に製造業の生産拠点を米国に戻すことを推奨する「メイド・イン・アメリカ」政策を取ったことは記憶に新しい。

「グローバリゼーション」という言葉が頻繁に使われだしたのは、1990年代だろうか。インターネットの普及、多国籍企業の台頭、ボーダレスという言葉と共に、国境の意識が希薄化し、現代のグローバル化は凄まじいスピードで進んでいった。垂直統合のビジネスモデルが普及したことも相まって、全世界から原料を調達し、世界の様々な国で製造し、組立をして、世界中で消費される。いわば、大量生産・大量消費時代が到来した。自動車やファストファッション、ファストフードなどがその代表的な産業であろう。

大量生産することで、まとめて原料を調達し、人件費の安い国で製造して、販売価格を下げる。税制や為替、輸送コストを常に把握して、効率化する。

 企業は、プロダクトを大量生産し、世界中にばら撒きスケールさせることでしか成長できないのだろうか??

行き過ぎた資本主義への疑問が散見される中、台頭してきたのが、ポスト資本主義。そしてシェアリングエコノミーなのだと思う。使われていない、眠っている財を有効活用するビジネスモデル。Airbnbなどの宿泊、カーシェアリング、クラウドソーシングなどもシェアリングエコノミーと言えるだろう。持たずに共有することで生みだされる経済。製造業からサービス業への転換を促すシェアリングエコノミーは、サスティナブルな成長モデルの1つなのかもしれない。

個人的に、何が本当の「サステナビリティ」なのかと言えば、消費者の(物質的製品の)購買行動を抑制することだと思う。

例えば、アパレル産業は、廃プラを再利用した製品を生み出して購買行動を促すのではなく、徹底した受注生産をするなど、ビジネスモデル自体を変えないと、いつまでたっても過剰在庫や大量破棄といった問題は解決しないまま「サステナビリティ」をトレンドとして消費していく。

大量生産モデルで成長してきたメーカー(製造業)は、ビジネスモデルの転換が求められている。サスティナビリティという環境負荷を考慮した、新たな競争のルールがすでに始まってているのだ。

消費者もいつでも手軽に欲しいタイミングで買いたい、食べたいという購買行動を見直さなければいけない時期に来ている。何が本当のサスティナビリティなのか、見極めて行動する時代が。

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