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クラウド会計システム比較(勘定奉行vs freee vs マネーフォワード)

クラウド会計の導入を検討されている皆様、数あるシステムのうち、どの会計システムが自社に適しているかお困りではありませんか?
価格やサポート体制などの比較だけでなく、具体的な操作方法や機能にどのような違いがあるかを事前に把握することで、最適な会計システムを導入することができます。
今回は、弊社独自の目線で、各システムの概要はもちろんのこと、操作方法や機能等まで詳細に比較したものを用意しました。

※各システムに対する評価はあくまで弊社独自のものであることをご了承ください。また、各システムの機能は2023年8月末時点のものになり、比較している各システムのプランは標準のものになります。そのため、時点やプランによっては機能比較結果が変わる可能性がある点も、ご了承ください。


※本記事で比較対象とした主なシステムは、以下の3社製品
①     オービックビジネスコンサルタント(株)の勘定奉行クラウド(以下、奉行クラウド)
②     freee(株)のfreee会計 (以下、freee)
③     (株)マネーフォワードのクラウド会計(以下、MF)
 

【1.システム概要】

まず大きな視点で概要比較するだけで、「⑴利用者割合」と「⑵ERPに対する考え方」に違いがあることが分かります。

⑴利用者割合

法人と個人事業主の利用者割合が各社で大きく異なっていることが分かります。
freeeでは、経理初心者や簿記の知識が少ない方を想定して設計されているため、個人事業主の割合が多くなっています。
一方、奉行クラウドは、中堅中小企業にフォーカスされており、個人事業主の所得税計算機能を持ち合わせていないこともあり、そのほとんどが法人の利用者です。
また、MFはその中間に位置し、法人と個人事業主の利用者割合が半分となっています。

⑵ERPに対する考え方

ERP(Enterprise Resources Planning)は企業の経営資源を有効活用の観点から管理し、経営の効率化を図るための手法・概念のことです。
freeeはひとつのデータベースで、会計以外にも販売や在庫、固定資産なども一括して管理するシステムであり、いわゆる「統合型ERPパッケージ」と言えます。
一方、奉行クラウドやMFでは、会計システムがカバー範囲以外の管理を行うためには、別システムを組み合わせる必要があります(例.固定資産管理の為には、勘定奉行クラウド以外に固定資産奉行クラウドが必要)。言い換えると、必要な部分だけを導入できる「カスタマイズ型ERPパッケージ」と言えます。
優劣があるわけではありませんが、各業務の管理データベースごとに粒度を変更して設定したい等のニーズがある場合には後者の方が合致するなど、自社の状況に合わせて検討する必要があります。
 
⑴と⑵をまとめたポジショニングマップがこちらです。
後述する具体的な操作方法や機能の違いも、これらの利用者割合(=ターゲット層)やERPに対しる考え方の違いから生じているとも言えます。

【2.基本操作】

ホーム画面や仕訳登録の方法といった基本的な部分を確認する前に、各ベンダーの仕訳に対する考え方の違いから解説します。

奉行クラウドやMFはすべての始まりは仕訳であり、各事象をどのように仕訳で表現するかという視点に立っているのに対して、freeeは取引を処理するとその裏で仕訳が起票されるという違いがあります。例えば、請求書を発行するとその裏で「売掛金/売上」が仕訳計上されているというような感じです。
この点を踏まえて⑴ホーム画面⑵仕訳入力画面を比較すると非常に分かりやすいです。

⑴ホーム画面

上は勘定奉行クラウド、下はfreee会計のホーム画面です。
勘定奉行クラウド会計の画面左側には、法人情報(マスタ関連)や財務会計(仕訳入力や合計残高試算表、等)があり、中央には起票予定や仕訳伝票の確認など伝票関連が多く配置されております。一方、freee会計では、左側にある銀行口座の残高や未処理件数が大々的に表示されています。
このようにホーム画面だけでもシステムごとに強調されているメニュー項目が異なっていることが分かります。

⑵仕訳入力画面

上は勘定奉行クラウドの仕訳入力画面、下はfreee会計の取引の登録画面です。
勘定奉行クラウドでは複式簿記の考え方を基礎として伝票入力するため、借方/貸方のそれぞれに適切な勘定科目や補助科目、金額を自ら入力します。そのため、簿記の知識がある方からすると馴染みやすく、理解しやすい入力方法となっています(MFも同様)。
一方、freee会計は、前述の通り、「収支」や「決済」などの各項目に必要情報を取引として入力することで、結果として、仕訳が作られます。例えば、勘定科目に「売上高」と入力すると自動で貸方に「売掛金」が入り、仕訳が作成されるというような仕組みです。
 
⑴ホーム画面や⑵取引の入力画面では、各社の仕訳に対する考え方が色濃く出ていると考えられます。
どちらに優劣があるわけではなく、これらの特徴を踏まえ、自社の状況や経理担当者の知識や経験に合わせて、選択されることをお勧めします。

【3.機能比較】

細かな機能の違いは多くありますが、具体例として3点をピックアップしてご紹介します。

⑴請求書発行

①     奉行クラウド
・売上計上したものから請求書を作成することができる。
・請求書を作成したものから売上計上ができない。
②     freee
・売上計上したものから請求書を作成することができる。
・請求書を作成したものから売上計上ができる。
③     MF
・売上計上したものから請求書を作成することができない。
・請求書を作成したものから売上計上ができる(ただし、会計システムとは別システムが必要)。

⑵証憑格納

①     奉行クラウド
書類種別として、「領収書」「請求書」「納品書」等、証憑種類を任意で追加することができる。
②     freee
書類種別として、「領収書」「請求書」「その他」の3区分しか選択できない。
③     MF
書類種別として、「領収書」「請求書」「納品書」「契約書」「見積書」「その他」の6区分から選択できる。

⑶合計残高試算表

①     奉行クラウド
・伝票区分を指定して、合計残高試算表の数値を集計することができる。
・勘定科目の下位階層として、補助科目しか表示できない(取引先や部門別には表示できない)。
②     freee
・伝票区分を指定して、合計残高試算表の数値を集計することができる(タグを指定)。
・勘定科目の下位階層として、補助科目のみならず取引先や部門タグで表示することができる。
③     MF
・期間の指定しかできず、条件を指定した形では集計できない。
・勘定科目の下位階層として、補助科目しか表示できない(取引先や部門別には表示できない)。
 
上記の点において機能の違いはあるものの、自社に本当に必要な機能か否かは業務内容や業務フローにもよるため、一概に良し悪しは言うことはできませんが、会計システムを選択する際の判断材料のひとつになるかと思います。

その他、これら3社を比較すると独自の特徴や機能の違いがまだまだあります(下記の図参照)。
ReaLightでは会計システムだけでなく、固定資産や経費精算など様々なシステム導入の経験豊富な公認会計士が在籍しております。その専門的な知識を活かして、導入前のコンサルティングから、導入後のサポートまで、一貫して高品質なサービスを提供しております。

クラウド会計システムの導入を検討されている方や、現在のシステムに不満を感じている方、ReaLightのサービスに興味を持たれた方は、是非ともお気軽にご連絡ください。

クラウド会計システム3社比較表