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4/3 映画「夜明けのすべて」鑑賞と感想

雨の午後、数時間ぽっかりと空きの時間ができたので、燃え殻さんがラジオでお勧めしていた映画「夜明けのすべて」の上映スケジュールを検索してみる。
すると、空いた時間と上映時間がピタッと重なっていた。これは見るしかないと池袋のシネマ・ロサへ向かう。

ちなみに映画の内容についての事前知識はいっさい無かった。
書店で平積みになっていた文庫本の映画版カバー写真を見たのと、燃え殻さんがラジオで感想を語っていたのを聴いただけ。

だが、思わぬところに落とし穴があった。
映画を見に行っておいて何だが、映画館はあまり得意な場所ではない。映画館、というよりは暗いし身動きを長時間とれない場所が苦手だ。
(いわゆる閉所恐怖症なのかなと認識している)
きっと優しい作品なんだろうなー、というだけで見に来てしまった。

あらすじにも書いてあるくらいだからネタバレというほどでもないだろう。
パニック障害に悩む青年が題材とされていた。

数年前、おそらく軽度だったと思うが、僕もパニック障害に悩まされた時期があった。
映画が始まってしばらくして、なんとも居心地の悪いムズムズを感じだした。パニック障害の症状はきっと人それぞれで、僕は発作の前の予兆みたいなものを感じることが多かった。
もしや、これは数年ぶりにまずいかもしれないと思いながら、とりあえず映画を見続ける。
席を列の端にしておくという予防措置が効果的だった。
いざとなればすぐに立ち上がれる座席は、それだけで安心感が違う。

なんとか最後まで楽しめた。
期待通り、とても優しい作品だった。
ラストまでリズムが穏やかで、人の優しさと温かさが描かれていた。
「自分がしんどくても、誰かを助けることはできる」
というセリフにジーンとなった。

向き合って、受け入れて、少しでいいから前に進んでみる。
いや、前に進めなくても全然かまわない。
その場でじっとしていて、明日が来ればきっとなんとかなる。
優しい誰かはどこかに必ずいて、助けられたり助けたりして、なんとか今日も生きていく。
ドラマチックな何かはなくても、穏やかなときを誰かと過ごせたならば、こんなに幸せなことはない。

見に行ってよかった。
僕は素直にそう感じた。
もしかしたら、見る人によっては刺激の足りない映画なのかもしれない。
燃え殻さんのラジオでも、近くにいた若い女性たちの感想は「なんにも起こらなかったね」と聴こえてきたと紹介されていた。

なんにも起こらない穏やかな日々を楽しめるようになった僕は、また1つ大人になった(老いた?)気がした。

瀬尾まいこさんの原作も今度読んでみよう。

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