高橋沙耶 / アーキテクト

一級建築士 / イギリスと日本の設計事務所を経て独立 / 2歳男の子子育て中 / 農村…

高橋沙耶 / アーキテクト

一級建築士 / イギリスと日本の設計事務所を経て独立 / 2歳男の子子育て中 / 農村と郊外のあいだに小さく暮らしながら仕事や日々のことを綴りたいと思います / http://sayatakahashi.com / まちを切り取りとったデザイン「まちゆく風呂敷」も展開中。

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  • 農村と郊外のあいだで小さく暮らすための家

    わが家の家づくりをまとめた記事です。 都内で小さく住むか、郊外で大きく住むかの2択ではなく、あえて「郊外に小さく暮らす」ことが私たち家族の豊かさ につながると考え、4人家族のためのミニマルな家を設計。 暮らしの変化に適応して住みこなす、必要十分な家を目指しています。

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はじめに

子供が生まれたことをきっかけに、 長年暮らした東京を離れて「農村と郊外のあいだに小さく暮らす」ことに。 仕事や日々のことをつづりたいと思います。 ◯ 自己紹介 東京都台東区生まれ。 明治大学で建築を専攻し、建築家を志すもまわりに圧倒され挫折。 みんなとは違う土俵に立たなければとイギリスへの留学を決意し、ロンドンメトロポリタン大学の大学院へ。修了後は2年ほどロンドンの設計事務所で働き、ビザが切れるとともに日本へ帰国。 Klein Dytham architecture に

    • 息子の保育園事情。2回転園をして、子育てと仕事のバランスが整ってきた話。

      子どもが産まれ、産前のように働けなくなりもどかしい日々。かと言って、子どもをフルタイムで保育園に預ける覚悟もない。 そんななか、2歳息子の不登校を機に、子育てと仕事のバランスについて考え方が変わりました。 今回は、息子の保育園転園を通して、働き方のスタンスが変わってきた話をします。 はじめての保育園は区立の認可保育所 長男の保育園生活は生後10ヶ月から始まります。 当時住んでいた、墨田区の区立認可保育所に年度の途中で入園することができました。 仕事に関しては、多少ブレー

      • 干渉しすぎない、受容する、公平であること。ロンドンでの働き方。

        当時(2012年)、イギリスの大学院を卒業すると2年間のプレ就職なるビザがもらえました。 留学で貯金を使い果たし、一度日本に戻り、3ヶ月生活できる分だけのお金を用意して再度ロンドンへ。 地図を片手に設計事務所にポートフォリオを持ち込み、運良く13人ほどの事務所に就職できました。 ◯ 「tea anyone?」イギリス人は紅茶を仕事中に5杯は飲む 事務所は3分の2がイギリス人、ドイツ人、ギリシャ人、イスラエル人、そして私。多国籍だった大学院に比べてイギリス人と接する機会が多

        • "talk to people" ロンドンの大学院での設計アプローチ

          2010年の夏、ロンドンの大学院へ進学。 宗教建築や教育施設を主に設計している建築家の元で修士設計をしました。 東ロンドンにある A11 Road の Aldgate からさらに東の Bow Church (約16マイル) まで、宗教建築や教育施設、コミュニティのあり方を調査し、最終的には Free school を提案します。 わたしは、最東端の Bow Church 地区を調査対象にしました。 中心に St Mary's Bow Church という教会があり、住民の9

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        • 農村と郊外のあいだで小さく暮らすための家
          10本

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          多国籍なロンドン、留学をして建築との向き合い方が変わった

          ロンドンの大学院に進学するべく、スーツケース1つで渡英した2010年の夏。 今でも建築設計の仕事を続けているのはこの留学が大きく影響しています。 学部3年生の設計課題で自分は設計に向いていないのではと挫折を味わい、大学院には行かずに就職を決めました。 内装設計施工の会社に勤めるも、このままの人生で良いのか悶々とする日々。 やっぱり建築設計をしたい、環境を変えたい、と思いロンドンへの留学を決意しました。 13年も前の事ですが、その時のことを改めて書き留めようと思います。

          多国籍なロンドン、留学をして建築との向き合い方が変わった

          暮らしやすさと照明計画

          日々の暮らしやすさを左右する要素のひとつでもある「あかり」 朝、日が昇ることから始まり、朝ごはんの食卓、仕事をする時間、夕暮れ時の子供との室内遊び、夜の家族団らん、寝かしつけまで。 住まいや暮らし方で変わる光のとり入れ方、照明計画についてわが家で考えた3つの事を記します。 「家族との暮らし」についてより書いてあるnote↓ ◯ 自然光をとりいれる 旗竿敷地のわが家は、敷地の南側に庭を設けて大きな窓を配置するのが光を取り入れるのに1番有効でした。 前回のnoteでも

          暮らしやすさと照明計画

          必要にして十分なキッチンについて

          これからの10数年、特に子育てを大切に暮らしていくなかで、都心から少し離れて「農村と郊外のあいだに小さく暮らす」ことにしたわが家。 小さい家だからこそ「必要にして十分な暮らし」ができるよう、モノの取捨選択をしました。 今回はキッチンのレイアウトについて検討したことを記録します。 「家族との暮らし」についてより書いてあるnote↓ ◯ 壁付けかアイランドか 人が集まるキッチンにしたい、という漠然とした思いがありました。 食べることが好きなのでつくることも割と好きな方で

          必要にして十分なキッチンについて

          暮らしやすさと素材について

          建物の素材や仕上がりを考えることも、暮らしを考えるうえで重要な要素のひとつです。 特に1日に過ごす時間が長くなればなるほど。 在宅ワークがメインの夫婦 + 子供で暮らすことを意識して素材を選びました。 ◯ 外壁について 素材はガルバリウム鋼板の波板。 15年に1度塗り替えが必要ですが、金額も性能もいい塩梅だと思います。 ガルバリウムの外壁はスタイリッシュになりがちなので、色や形状でやわらかい印象になるよう工夫しました。 小波板が主流ですが、少し野暮ったさが欲しかっ

          暮らしやすさと素材について

          暮らしやすさと建物の性能

          「暮らしやすさ」を考えるとき、建物の性能も大事だと木賃アパートに住みながら痛感しました。 特に子供がいると。 だた、「性能を良くする」と「建築費が上がる」は割と比例してくるので、窓の位置や間取りで自然環境を取り入れる工夫をし、費用を抑えています。 「小さく暮らす」とは、と常に自問自答して私たちに妥当な計画に落としていきました。 ◯ 断熱材 木賃アパートの2階にかれこれ3年住んでいましたが、冬の寒さに耐えるのが一番辛かったです。 窓からの冷気で部屋は暖まらないし、隙

          暮らしやすさと建物の性能

          サラリーマン6年目の夫とフリーランス妻の住宅ローンのはなし

          一般的なサラリーマン6年目の夫とフリーランスの妻が借りられる住宅ローンの金額はたかが知れている。 夢見がちに家探しを始めて、そんな現実に直面し、住宅ローンを借りるまでのことを今回は書こうと思います。 ◯ 銀行を探す 夫と私が長年みずほ銀行利用者だったことから、まだ土地が決まっていない段階で、一番近いローンセンターに相談へ行くことからはじまります。 年収いくらでどのくらい借りられるのかが書いてある表を見せてもらい、まずは私たちの借入可能額を知ります。 フリーランスの私

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          「小さく暮らす」を設計する

          上棟式が終わり、改めて建物の規模感が私たちの適量であると感じました。 オンラインが増えた今、郊外で広く余裕を持って暮らすことが正解にも思えましたが、大きなものをもつことに対する「荷の重さ」が気になりました。 広めの土地に小さく建てることで、家の使い方は工夫するし、何を大切にしたいかが明確になる。余分でなく余白をつくり「小さく暮らす」方が空間がより豊かになるのではないか。 今回は「農村と郊外のあいだに小さく暮らす」をコンセプトに、無理なく暮らすために設計した過程をつづります

          「小さく暮らす」を設計する

          着工から棟上げまで

          都心から少し離れて「農村と郊外のあいだに小さく暮らす」をコンセプトに、土地探しから家を建てるまでの過程を記録しておこうと思います。 今回は着工から棟上げまでのお話。 ◯ 着工 2022.7.27 きびしい暑さが続くなか、わが家が着工しました。 地縄の確認をし、根切りが始まります。 地盤調査の結果は思っていたよりは良くありませんでしたが、再生砕石で表層(設計GL-500)を転圧して不同沈下を防ぐ程度になりました。 砕石を200mm敷き込み転圧し、砕石を更に追加して転圧し

          着工から棟上げまで

          農村と郊外のあいだに、家をつくるまでの準備

          都心から少し離れて「農村と郊外のあいだに小さく暮らす」をコンセプトに、土地探しから家を建てるまでの過程を記録しておこうと思います。 今回はつくるまでの準備のお話。 ◯ 地盤調査 2022.6.23 古家の解体工事が終わり、スクリューウエイト貫入試験 (旧スウェーデン式サウンディング試験)による地盤調査を行いました。 地中に貫入したロッドに10kgと25kgのおもりをのせていき、100kg(≒1Kn)になった時点での沈下具合をみます。 最近は機械での測定が多いですが、私

          農村と郊外のあいだに、家をつくるまでの準備

          家族との暮らしを考える

          子供が生まれて、住んでいるアパートが手狭になってきたのもあり、新居を探し始めることに。 都心から少し離れて「農村と郊外のあいだに小さく暮らす」をコンセプトに、土地探しから家を建てるまでの過程を記録しておこうと思います。 家族構成 夫 (生まれも育ちも埼玉県八潮市、29歳、会社員) 妻 (東京都台東区生まれ葛飾区育ち、36歳、建築家) 子 (東京都墨田区生まれ、1歳、わんぱく少年) ◯ 住む環境を考える お互いの実家が一軒家だったこともあり、マンションではなく一軒家、賃貸

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