新劇場版farmworkschemaは、2013年に映像作品として作ることを念頭に置いて作りました。2005年にカバーさせていただいた曲を、4パターンのアレンジ、作曲・ボーカルの収録を全てiPadのGarage Bandで行い、映像を付けた作品群です。 映像の完成後、DVDにまとめ、知人たちに配布しました。映像を制作したPCがHDDごと壊れてしまったため、映像の元データは消えてしまいました。現存するHD画質の映像はYouTubeに上がっているもののみです(上げておいて
「……おや?」 ──どうしたね。 「僕の……僕の、所持金が、半分になっている」 ──それがどうかしたのかね? 「どうか……って、何時の間に?全然気付かなかった」 ──気付かないはずはないだろう。君は、死んだのだから。 「え……?し、死んだ?」 ──そうだ。今、君はなぜ自分がこの城にいるか、理解ってないんじゃないか? 「死んだって……何を言ってるんだ。僕はちゃんと生きている」 ──つくづく頭の悪いヤツだな。君は、死んだんだ。だから、君の所持金は半分に
2023年にDTMで制作した、自作曲をまとめました。使用DAWは「Cubase 13 Pro」、VST音源は「HALion Sonic SE(Steinberg)」「Orchestral Essentials 1・2(Project Sam)」「Synthesizer V Studio Pro(Sonicwire)」を使用しています。 ボーカルは、以前はUSB接続で外部ミキサー「YAMAHA MG10XU」を認識していたので、マイクを繋いで自分で歌っていたのですが、M
村上春樹『羊をめぐる冒険(上)(下)』(講談社文庫)、再読了。3部作の完結編。 余りにも好きで、読んだのは随分昔なのに、文章を丸々覚えているところがあったりして、懐かしい気持ちになった。そして寂しい気持ちにもなった。物語が終わるのは、すべからく寂しいものだ。 何事にも終わりが必ずあって、人は常にその終わりと向き合っているべきなのだと思う。 終わりの無いものなんて、つまらない。終わりがあるからこそ、僕は今を大切にしたいと願う。
『1973年のピンボール』村上春樹(講談社文庫)、再読了。 前作『風の歌を聴け』のような勢いもなく、次作『羊をめぐる冒険』のような圧倒感もない、三部作のちょうど間で。読み直しながら「うーん、なんかウダウダした感じだったよねえ、確か」と思いながら読んだので長くかかったけど、後半から一気に良くなって、読み終わると何だか清々しい気持ちになった。 僕もジェイズ・バーに行きたい。一人カウンターでビールを飲み、落花生の殻を剥きながら、これまで愛した相手を思い出したり、宇宙で回る星のこ
今日書店で買った村上春樹『風の歌を聴け』(講談社文庫)を、即日読了。 初めて読んだのは働いていた時、仕事の師から借りて夢中で読んだ。読み直したくて、やっと手に入れた次第。 初期村上春樹一式(『風の歌を聴け』〜『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』)を買ってきたので、しばらく楽しめそうだ。 それにしても、本って本当に不思議。読む度に感じ方が変わるし、本の内容だけじゃなくて、読んでいた頃に考えていたことや悩んでいたことも思い出す。そう考えると、本って成長の物差しとし
おじいさんの大きな古時計は、おじいさんが生まれた朝に買ってきた時計でした。おじいさんが子供の頃も、結婚式の日も、ずっと時計は時間をカチカチ刻み続けていました。 その日、おじいさんは天国に旅立とうとしていました。おじいさんはもう起きあがることも喋ることも出来ません。ベッドに横になったまま、かすかな寝息を立てているだけでした。 時計は思いました。これまで自分を大切に使ってくれたおじいさんに、共に生きてきたおじいさんに、一言お別れが言いたい。でも時計は言葉を喋ることは出来
[スシロー] わー。 これが銀河回転寿司かぁ。 [メーテル] そうよ、スシロー。 これが銀河回転寿司。 人が己の欲するものを求め、 それを欲するがままに 手にすることが許される世界。 スシローは初めてだったわね? [スシロー] ああ、メーテル。 こんなの初めてだよ! すごい……寿司が周ってる。 アッハハ、こりゃいいや! [メーテル] スシローも欲しいものを 好きに選んでいいのよ。 私はまずアガリを もらうことにしましょう。 [スシ
どうしてか言えば良かったのかな 僕はPSY・S(サイズ)というアーティストが好きだ。中学生時代、これを聞きながら僕は青春時代を過ごしたのだ。ちょうど初めて人を……男性を好きになった頃。好きになった相手は、同じクラスの同級生だった。 その頃、僕は成基学園という京都にある有名進学塾に通っていた。だから殆ど毎日を京都で過ごしていた。塾の先生は物凄く魅力的で、個性的な先生が集まっていて、授業の水準も高かった。はっきり言って、僕は塾での授業が大好きだった。 でも、僕は殆ど授
部屋の中で干した洗濯物の匂い/かび臭くて、水の妙な匂いがする/あんなに透き通っている水の匂いがこんなだなんて、裏切られたようなそんな気持ちになるからこの匂いは嫌い/……嘘つき。 久し振りに付けた、クーラーの匂い/部屋の中を腐らせていくような、折角の雰囲気を一気にブチ壊してくれるような、そんな気持ちになるからこの匂いは嫌い/みんなが楽しい時に水を差すような、まるでアイツのよう。 セックスの後の、身体の匂い/肌に付いた唾液が乾燥して、精液の匂いと混じり合って、もうどうし
嫌い/大嫌い/ただ漠然と毎日を生きている人も/自分をより良く変えていけない人も/けたたましい笑い声を上げるオバサンも/僕を煙たそうに見上げるオジサンも/人を指差して笑う奴も/一人では何も出来ない奴も/みんな嫌い。 ここは僕が嫌いなモノを書いていく場所/僕が自分で自分をスッキリさせる場所/どうしてあなたはここを見るの?/どうして僕が嫌いなモノを見るの?/大して見たくもないんだったら、とっとと別のページに行って/興味半分で僕のことを見ないで。 僕が嫌いなモノを知りたい?
仕事が夜10時半に終わって、それから帰りに梅田で堂山に寄る。久し振りだ。別に何も飲んで帰ろうとか思っているワケじゃない。今日発売の某ホモエロゲーを買って帰ろうかと思ったのだ。 夜の梅田は嫌いだ。特に東側。雑然と飲み屋が並び、客引きが群れをなし、変なお姉さんがたむろっている夜の堂山。サイアクだ。僕に盛んに声をかけてくる客引き、足元から顔をなめ上げるように見る女。何もかもがムカつくし、何より今の僕はこの世界の中では孤立していた。 雑居ビルのエレベータを待つ。その間も客引
はじめに 「牢獄」は、僕が大学生の頃、自分のウェブサイトに掲載していた自伝です。第四章は、僕と相方(本文中では「彼氏」と表記)の関係に終わりが見えた時のお話です。 この文章を書いたのは、2000年11月30日と、2001年2月17日です。現在の僕ではないことを、あらかじめご承知おきください。この文章は、当時僕が個人で運営していた「プラスティック・マインド(略してプラマイ)」というウェブサイトに掲載していたものです。本文中に現れる「ぷらす」という人物名は、僕、しまっちのこと
はじめに 「牢獄」は、僕が大学生の頃、自分のウェブサイトに掲載していた自伝です。第三章は、僕が相方と付き合い、同居を始めてすぐに起きた短いお話です。 この文章を書いたのは、1998年11月24日です。現在の僕ではないことを、あらかじめご承知おきください。 子供僕にはどうやっても満たせない 悲しい夢を見た。彼氏が、子供欲しさに女性と結婚する夢だった。 そんなことある訳がない。そう思いながらも、僕は戸惑いを隠せなかった。僕の頭から離れない、彼の視線。自分の妻と、まだ
はじめに 「牢獄」は、僕が大学生の頃、自分のウェブサイトに掲載していた自伝です。第二章は、僕が家族に本当の自分を初めてさらけ出した時のお話です。大学の留年、自分がゲイであることのカミングアウト、その後22年間共に暮らすことになった相方(本文中では「彼氏」と記述)と同居したいという希望、それら全てを、一日で家族にぶちまけた記録です。 家族と最終的にどうなったか、までは残念ながらこの時点では記述できていません。が、最終的には容認という形で家族には受け入れられたように思います
はじめに 「牢獄」は、僕が大学生の頃、自分のウェブサイトに掲載していた自伝です。第一章は、僕が自分がゲイであることを受け入れるまでのお話と、人生で初めて、そして22年間、付き合うことになる相方(本文中では「彼」と表記)との出会いのお話です。 文章中に「……」が大量に使われていたり、一部の漢字表記が恥ずかしくて、直したいのをグッとこらえながら、原文のままで記載しました。 21,000字を超える長文ですし、昔の話ですので、とても誰かの役に立てるとは思っていませんが、もし