Aの"友達理論と条件"の変遷part1
Aには思い出したくもない過去がある。
人には誰しも黒歴史なるものの一つや二つあるだろうが、
ここで言う黒歴史と思い出したくない過去は同義である。
もう少し言うなれば、友達関係においての黒歴史だ。
この出来事で、Aは友達について取捨選択する必要があると考えた。
そしてAは、自分なりの「友達理論と条件」を構築した。
この「友達理論と条件」の基礎は、
心理学と統計学による、
汎用性と普遍性を含んだ圧倒的な「学びの量」によるものだった。
相手の表情、口調、仕草や目線、癖など様々な情報から、
意識的に人の本質を見抜こうと働いた。
大学に上がる頃にはそれが無意識的に出来るようになった。
その頃には、Aにとって関わる人全てが一種の"被験者"に見えた。
人が信じられなくなった。
人が嫌いになった。
傷つかないように、予め人の本質を見抜こうとしたAの努力が、
結果としてAを苦しめ、追い詰めることとなった。
それに気付いて以来、Aはある一定以上の心の距離を維持するようになった。
人の心に踏み込むのが怖くなった。
自らが築いた論理性の力が減殺され、
感情が増大する。
原因はAが構築した理論と条件による戦略系だが、
その苦しさを増大させたのは人間系の動きだった。
彼は全てに絶望した。
唯一信じた者も離れてしまった。
人の"本性"という、問題のボトムに潜む本質に迫ったAは、
失活し、無残な姿を晒していた。
そんなAが2018年の11月、あるアプリと出会う。
これは、Aの持つ「友達」という概念を変えた数奇な嚆矢である。
~続~
2019年7月30日
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