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ネパールの農村で命に向き合う

初っ端から高熱を出し、ようやく元気になったネパール5日目。目的だったRajpur(ラジプール)村の訪問が実現した。目的は、知り合いのNPO・ASHAの活動を見学させてもらうこと。ASHAは日本のNPO法人で、2015年のネパール地震をきっかけに現地で医療アクセスに関わる事業を展開している(詳細はこちら

日本から来日していたNPOのメンバーはすでに帰国していたため、ネパール人スタッフのビッキーに村を案内してもらった。

丸っこくていつもにこにこしているビッキー。

ラジプール村は滞在中のホテルからバイクでさらに40分ほどの場所にあった。干上がった川や舗装されてないガタガタ道をひたすら走る。道中、一面に広がる菜の花畑と里山が美しかった。ラジプールは広い村で、村内で5つの異なる言語が話されているという。そして、ビッキーは全ての言語を話せるというから驚いた。

ネパールの村で医療のICT化が進んでいた

ASHAはこの村の自治体と協力して、クリニック向けの電子カルテや中学校でのファーストエイド講習などを行い、必要な医療にアクセスできる環境づくりを進めていた。

私が最初に訪問させてもらったのは、ASHAの電子カルテを導入しているクリニック。日中のため電気はついておらず薄暗かったが、院内は多くの女性と子供で賑わっていた。聞くと、ちょうど定期健診の日だったみたい。

ここでASHAによって導入されている電子カルテは、IDによって患者のカルテを探し出し、必要な医療サービスを提供できる仕組みだ。

ネパールでは地域内に同姓同名が多く存在するため、IDでの管理は混乱防止につながるという。このような簡素的かつ的確なシステムのおかげで、看護師は簡単な操作で患者の情報にアクセスでき、必要な医療サービスをすばやく提供できていた。村内10つの施設で使用されているのだそう。

ウォークインで訪問する患者に対応するクリニックのスタッフさん

ASHAによって、村にはアプリを使った問診システムや地域保健スタッフによる定期的な問診なども導入されていた。未だに紙のカルテを使う日本よりも進んでいるなぁ、とすら感じる。

本当は地域保健スタッフの活動も見る予定だったけど、村の経済的な理由から活動停止中らしく、訪問できなかった。残念……

400名以上が受講したファーストエイド講習

クリニックを後にして向かったのは、ファーストエイド講習を実施した中学校。ネパールは学校もDIYらしく階段の段差が毎回違う。そんなぼこぼこの階段をあがっていく。

訪問した日は講習がなかったので、ファーストエイド講習のキットを見せてもらった(でも、すべて生徒に配ってしまい在庫がなかった模様)

中学生に配布されたファーストエイドキット

中学生にファーストエイド講習が必要な理由はいくつかあるが、日本との環境の違いに「村内の中学校に保健室がない」ことがあるという。じゃあ自分たちで対応できるようなろう、と始まったのがファーストエイドだった。

ビッキーは「これまで400名以上の学生にファーストエイド講習を実施して、実際にケガの場面でファーストエイドをやったよ!と話してくれる子もいるんだよ」と嬉しそうに話してくれた

「支援」ってなんだろう?

今回訪問させてもらったASHAは、日本人メンバー全員がプロボノで活動している団体だった。私もNPOで働いているが、みんなプロボノという団体はなかなか珍しい気がする。

そんなASHAメンバーと話した際に、「ネパールの人を助けたいという気持ちではなくて、一緒にやっていて楽しいから続けている」と話してくれた。助ける/助けられるではなく、「一緒になにかを創っていく」という関係性なのだという。

多くの人は、「新興国の村で活動するNPO」と聞くと、貧しい現地の人々を支援するような光景をイメージするだろう。でもネパールの農村で活動するASHAのメンバーと現地の人々はそういった関係性ではなく、むしろチームメイトなのだと思った。

ネパールの時間感覚や行政とのやりとりなど、大変な部分はたくさんあるだろう。それでもラジプール村のような都市から遠く離れた地域で医療活動を続けるASHAの活動は、ただすごいと思う。常に全力な日本人メンバーや優しい現地スタッフからたくさん元気をもらったし、彼らの関係性を羨ましいとも思った。

今回ASHAの活動地を訪問させてもらったのは、ひょんなご縁からだった。医療分野に関してド素人の私を案内してくれたASHAのみなさんには感謝しかない。

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ASHAの活動詳細はこちら。


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