しょぼこ

旅の思い出を綴りつつ、アート鑑賞や農業、お料理についても少しずつ。旅先で食べるごはんと…

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旅の思い出を綴りつつ、アート鑑賞や農業、お料理についても少しずつ。旅先で食べるごはんと自然に囲まれる時間が何よりも好きです。普段はNPOの広報しています。

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世界一美しい渓谷・ランタンを歩く〜ガイド手配編〜

ヒマラヤ山脈を見たいと思いつつ、持病の腰椎ヘルニアが不安だったので、「調子がよかったらトレッキングしよう」くらいの気持ちで渡航したネパール。事前に日本でトレーニングしなかったけど、結局は標高4600m・約65kmを歩くことができた。 登山用のアイテムは持参していたけど、何も計画は立てていなかった。でも、行きの飛行機で見たNetflixのドキュメンタリーに出てきた「ランタン渓谷」には行ってみたいとは思っていた。ここは「世界で一番美しい渓谷」として知られる一方で、2015年の大

    • 日曜のコーヒーの淹れ方と平日に美味しいコーヒーを飲まない理由

      高校生の時からコーヒーを飲んでいて、気づけばコーヒーが生活の一部になっていたけれど、正直かなり適当に淹れていた。そんななか、先日コーヒー講座を受ける機会があった。テイスティングや豆の種類に関する講義、そして「美味しい淹れ方」を学んだら、休日のコーヒーが特別なものになった。 講座で学んだことの1つに、「コーヒーの味の70%は豆の品質で決まり、残りは焙煎と淹れ方で美味しさが変わる」という。料理と同じで、良い素材を美味しく調理し仕上げる……ということだ。 「良いコーヒー豆」の定

      • チャイと年越しと無職一家の謎

        2023年の大晦日、ネパール南部のルンビニから深夜バスで移動した私は早朝のカトマンズのバスターミナルにいた。知り合いの親戚の家でホームステイをするため、カトマンズ郊外の町・ムルパニへ向かった。 カトマンズ中心地でにぎやかに年越しも考えたけど、やっぱり年末は家族で過ごしたい……もともとネパールの新年は4月だと聞いていたけど、何かしら年末年始っぽいことはするだろうと思っていた。 チャイを飲んでたら2023年が終わった滞在先の家族はふくよかなママ、顔の濃い舘ひろしのようなパパ、

        • ネパールの農村で命に向き合う

          初っ端から高熱を出し、ようやく元気になったネパール5日目。目的だったRajpur(ラジプール)村の訪問が実現した。目的は、知り合いのNPO・ASHAの活動を見学させてもらうこと。ASHAは日本のNPO法人で、2015年のネパール地震をきっかけに現地で医療アクセスに関わる事業を展開している(詳細はこちら) 日本から来日していたNPOのメンバーはすでに帰国していたため、ネパール人スタッフのビッキーに村を案内してもらった。 ラジプール村は滞在中のホテルからバイクでさらに40分ほ

        世界一美しい渓谷・ランタンを歩く〜ガイド手配編〜

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          ネパール・ブッダ生誕地に住む子どもたち

          ネパール6日目はインド国境に近い町・ルンビニへ移動した。ここにはブッダが生まれた聖地があったので「世界遺産だし行っておこう」という、かなり軽ーい気持ちで訪問を決めた。 観光地に住む物乞いの少女ルンビニには国連など世界的な機関によって整備された聖地公園があり、公園の全体設計は丹下健三によってなされた。公園には「ドイツ寺」「韓国寺」など世界各国の国名がつけられたたくさんの寺が点在していた。 「参詣者は日本寺近くのホテルに滞在し、正門から入園して小舟で運河をわたり、祈りを深めな

          ネパール・ブッダ生誕地に住む子どもたち

          ネーパルの田舎で100km逆走と40度の発熱

          カトマンズに到着した私は、翌日にインドの国境近くにある街、ネパールガンジへ移動した。そこから100kmほど離れた村で医療活動を行う知人のNPOを訪問することが目的で、村には3日ほど滞在する予定だった。 カトマンズ→ネパールガンジ便は、朝イチだったため機内がキンキンに冷えてめちゃくちゃ寒い。でも窓に映る雪を被ったヒマラヤ山脈を見てテンションがあがり、しばし寒さも忘れることができた。だんだんと景色は赤々とした平原へと変わっていき、1時間ほどでネパールカンジに到着した。 平原を

          ネーパルの田舎で100km逆走と40度の発熱

          4年ぶりの海外はネパールだったー旅のはじまり

          コロナ前はアジアや中南米を旅していたが、コロナ禍でしばらく海外とは縁遠い生活をしていた。日本でぬくぬく過ごすなか、あるとき「このままだとまずい」という妙な焦りを覚え、すぐさま旅を計画しはじめた。 行き先はネパール。コロナ禍でハマったスパイスカレーの本場かつ、混沌としていて山に近い国……で即決だった。じっくり周りたかったから、2023年12月23日から翌年1月19日までの約1ヶ月ほど有給を使った。しかし「知人のNGOを訪問する」以外は、全く計画を立てずに出発。どうにかなるかと

          4年ぶりの海外はネパールだったー旅のはじまり

          世界のムナカタを生み出したもの

          京王線の新宿駅で青と黒が印象的な「メイキング・オブ・ムナカタ」のポスターを見た瞬間、これはどうしても行きたいと思った。その理由は、今年の秋に彼の縁ある富山に訪問したこと、そして「何かみたことあるな…」という、懐かしい感じがしたから。 展覧会は予想以上に混んでいたけど、2時間半かけてじっくり見て回ることができた。大正〜震災、戦争、高度成長を生き抜いた棟方志功の作風には、あったかさと力強さ、時代の色がほんのりと映っていた。今回は「世界のムナカタ」を作り上げたもの、つまり「ワット

          世界のムナカタを生み出したもの

          木と水が育む発酵の谷・木曽を訪ねて

          いつからか、木曽地域へ行ってみたいと思っていた。たぶん発酵研究者・小泉武夫さんの本で塩や麹を使わない「すんき漬け」など発酵文化を知ったこと、山間の宿場町に根付く文化に興味があったからだと思う。だから「木曽の発酵と木工」をテーマとしたツアーを知ったときはすぐに申し込んで参加した。 2日にわたる旅程で巡ったのは、木工職人、酒造、水木沢天然林、お六櫛組合、漆器職人など。宿泊先ではお母さんからどくろくを、個人的に訪問した麹店のご主人からは味噌造りについても伺えた。 今回は木曽とい

          木と水が育む発酵の谷・木曽を訪ねて

          おうちヴィーガンを続けるたったひとつのコツ

          今年の夏から、家では動物性の食品を食べない「おうちヴィーガン」をはじめた。理由はNetflixのドキュメンタリーをみたこと、そして植物性食品だけでどこまで料理を楽しめるか、ちょっと試してみたくなったからだ。 とはいえ外では肉も魚も食べるし、ミルクチョコレートを嫌悪することもないので、かなりゆるーいヴィーガン生活。 実は5年前もヴィーガンだった。でもその時は外食を含めて動物性は一切口にしないほど徹底したら疲れしまい、1年ほどで辞めてしまった。だから今回は続けられる範囲でやっ

          おうちヴィーガンを続けるたったひとつのコツ

          毎朝お茶を点てたら、部屋が綺麗になった

          朝7時半。きめ細やかな泡から熱気が立ち、器を持つ手はじんわりあったかい。熱い抹茶をひとくち飲めたら、その日はいい気分になれる…… ここ1年、わたしは毎朝お茶を点てている。五感を澄ませて、全神経をお茶だけに注ぐ。お茶を飲み終えると1日のスイッチが入るこの5分が何より大切だったりする。 これまでお茶とは無縁だった私が毎朝お茶を点てるようになったのは、祖母から抹茶1缶をもらったことがきっかけだった。合わせて古い茶碗と茶筅も譲り受けたので、ものは試しで自宅でお茶を点てることにした

          毎朝お茶を点てたら、部屋が綺麗になった

          秋田・田沢湖でグアテマラを思い出す

          なぜ田沢湖に行きたくなったのか覚えてないけれど、なんとなく素敵な名前だったから、晩秋のある日に一泊した。 田沢湖駅に到着したのは夜7時。民宿のおかあさんが迎えに来てくれた。 おかあさんは腰がぐいっと曲がっている。何十年も働いてきた証拠だろう。80歳近くの彼女は田沢湖の生まれで自分のことを「オラ」という。 民宿の戸二重戸を開くと、石油ストーブのにおいが漂ってくる。どこかのお土産らしき置物が並ぶ玄関で、思わず「お邪魔します」とつぶやく。 おかあさんの作る夕ご飯は素朴でとって

          秋田・田沢湖でグアテマラを思い出す

          今帰仁グスクと古宇利島で感じる沖縄の昔と今(沖縄旅vol.4)

          那覇からバスに揺られること約2時間。到着したのは、那覇よりずっとのんびりしている沖縄第二の都市、名護だ。ここに来た目的は、今帰仁城址(グスク)へ行くこと。元々、遺跡にはそこまで興味がなかったけれど、写真で見たグスクに「こんなものが日本にあるのか」と驚き、ぜひ訪問したいと思ったのだ。 琉球の人々も山を眺めていたはずグスクには日陰がないと思っていたから、早くに出発して開園直後には到着した。バス停から15分の登り坂を歩いている途中、後ろから「乗っけてってやるよ」と近所に住むという

          今帰仁グスクと古宇利島で感じる沖縄の昔と今(沖縄旅vol.4)

          斎場御嶽で考える観光資源のあり方(沖縄旅 vol.3)

          「神聖な感じがする」という、薄っぺらい理由で斎場御嶽は行ってみたい場所の1つだった。実際に斎場御嶽はとても神聖だったが、「聖地を観光地にすること」を考えるきっかけにもなった。 琉球王朝の時代から信仰される聖地御嶽(うたき)は、沖縄でそこかしこに存在する。神さまが存在する、あるいは来訪する場所だといわれる聖域で、神社仏閣のように形づくられたものではなく、岩や山、あるいは久高島のように島ごと「御嶽」となることもある。 斎場御嶽は琉球王朝時代に王妃が就任するときの儀式が執り行わ

          斎場御嶽で考える観光資源のあり方(沖縄旅 vol.3)

          見ることを描く、へのあくなき探求│デイビット・ホックニー展

          名前を知ったのはここ数年だけど、彼の絵は15年に見たときから記憶の片隅に残っていた。それは美術の資料集のポップアートのページに載っていた『両親』だった。この絵の不思議な立体感とあたたかさが印象的で、いつか本物を見てみたいと思っていたのだ。 あれから十数年。ついに『両親』を見ることができた。でも本物のホックニーは「ポップアートの画家」じゃなかった。彼はあたたかくてお茶目で、「描くこと」の可能性を探求し続ける生粋のアーティストだった。 展示で感じるホックニーの変化東京都現代美

          見ることを描く、へのあくなき探求│デイビット・ホックニー展

          ぜんざいにまつわる3つの話(沖縄旅_番外編②)

          じりじりと照りつける南国の日差しに火照った身体には、冷たい氷がよく染みる……沖縄滞在中、ぜんざいと「ぜんざい屋さん」にすっかり魅力されてしまった。ぜんざいロス解消も兼ねて、3つの味と思い出をつらつらと振り返る。 声に出るほど、うまそうなぜんざい初めての沖縄ぜんざいは、首里城近くの「ぜんざいの店 純」だった。午後三時、お店には部活終わりの男子高校生が溢れていた。お店を見渡すと「友達とのゆんたくに使ってください」とあり、みんなのお喋りの場になっている。たしかに30名は余裕で入る

          ぜんざいにまつわる3つの話(沖縄旅_番外編②)