帰国

二年ぶりの金山駅、地下鉄、名古屋、たくさんの日本人と日本語。相変わらずの広告の多さにめまいがする。あのバンドマンはどうなったのかとか、あの人は今何をしているだろうかとか、私には外国のにおいが染み付いちゃってるのかとか、この女子高生は2007年生まれなのかとか、そういう考えてもキリがないことに頭を悩ませてはなんとなく、そんな日本での日常の幸せを噛み締めてるよ。金山駅のトイレはあんなに綺麗に改装されたのね!パン屋さんの位置は変わっていない。二年。たったの二年に感じていたけれど、結構長いブランクだったみたいね。もうみんなが何をしているのかもよくわからなくなって、おばあちゃんはただの灰になってしまった。わたしは、二年前の日本にいたあの頃の自分に戻ったような、そこに帰ったような気がしているのだけれど、そこからわたしの知らない二年という時を進めたこの国と、この地と、どうやって折り合いをつけていこうか、まだ探り探りで日々を生きている。本当にね、ただわたしは2年前の日本にいたときの自分の“つづき”を再開した気分でいるの。でもどうしても歯車が噛み合わない感じがするのは、二年の刻を進めたこの世界とわたしとの間にできた溝のせい。内側からまとった異国の香りのせい。お腹周りにまとった15キロの贅肉のせい。ずいぶん冷たくなっちまったあの人のせい。

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