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アイリ

アイリの第一印象は「綺麗な子」だった。身長は160と少し、手足がすらっと伸びて大きな目。肩甲骨のあたりまで垂れた黒髪がつややかで、サラサラと風に揺れた。どういうきっかけで仲良くなったのか今ではあまり覚えていないけれど、彼女が視界に入るたびに静電気が走る感覚がして、ちょっぴり緊張する存在だった。確か掃除の時間に初めて話したような。都会的な見た目に反して強めの方言を使い、最初に「アイリは」と添えてから発言するのが彼女の癖だった。ろくに箒も動かさずに互いの軽い自己紹介をした後、「仲

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      ホタルイカを初めて食べたのは去年の五月。意外と最近。生まれて21年目でやっと口にした食材。それがとにかく美味かったので、以来「ホタルイカ」の文字を見つけると目が留まり口が止まり、ついには体が店に吸い寄せられるようになった。先日も某回転寿司チェーン店で「漬けほたるいか100円」なんて言われてしまったもんだから、もうその日の夕に食べに行った。 ここまで異様なホタルイカブームが継続しているのは、その味もさることながら、あの1年前の夜が思い起こされるからであろう。 友人と大阪へ出向

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