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エッセイ|子供の雪、大人の雪


何年か振りの積雪。

昨日は昼くらいから雪が舞いはじめ「不要不急の外出は控えて」とか「大雪警報が」とかの言葉をたくさん目にした。

東京に程近い我が家は行動範囲に都内も入っているし、雪を想定した生活をしているわけではないので「今回も電車も道路も大変なことになるだろうなぁ」と考える。

こんな日に限って用事が立て続けに入っていたものだから、外に出ざるを得ない。ちょうど降りはじめの時間から何度も出たり入ったりしていたわけだ。

それにしても。時間が経つに連れて白くなる景色に心躍るのはどうしてだろう。

出先で外に出るたび
「細かい雪だからしばらく降るぞ」
「お、かなり道路が白くなってきたぞ」
なんて思う。

帰路についたのは18時前で、その時間にはすでにかなり積もっていた。

よせばいいのに、わざわざ人が踏んでいない雪を求めて横道にそれて遠回りで歩いたり、公園に寄って子供たちが作ったのであろう雪だるまを愛でてみたり。「傘なんて要らないや!」とはしゃいでみたり。

雪はわたしを子供にする。
無条件でわたしを子供にする。

何年かに一度しか降らないからなおさら、昔を思い出すのかも。長靴でも入り込んでくる雪、雪合戦や、たくさん降ったときは家の前にかまくらを作った。誰も踏んでいないところに倒れ込んで自分の跡をつけたり…

そんな気持ちが、白くなった風景を見るとバーっと広がる。懐かしい。

さて、楽しい時間が過ぎ、今日だ。子供の時間は終わりだ。なんといっても、大人として雪と向き合わなければならない。

ガレージの前の雪
屋根から落ちた雪
玄関から門まわり、少し歩きやすいように近隣も…雪かきという体力勝負の仕事をしなければ。

家族の靴も乾かさないといけないし(雪仕様ではないのでかなり濡れている)、この天候で洗濯もままならない。

雪の翌日は、わたしを大人に引き戻す。それはもう、否応なしに。

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