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エッセイ|ひとり、は孤独じゃないけれど


ひとりの時間をとても大切にしている。

一日のうちのどこかで、心も体もゆったりと開放するように過ごしたいなと思っていているのだけれど、我が家は夫も長女も不定休な勤務体系。次女は大学が週に一度。そうすると長い時間を一人で過ごすのは難しい。

これはわたしのわがままな部分で、できれば「ふいに誰かに声をかけられる」状況だと落ち着かない。早起きをする理由のひとつがそれだ。もしくは、みんなが寝静まった後にこっそり起きているのも。

ひとりが好きなのは今に始まったことではない。幼いころからひとりで遊ぶのも平気だったし、ひとりで空想するのもとても心地の良いことだった。

きっと、集団生活のなかで気を張って過ごす疲れを癒すとか、どこか人からはみ出る部分があったから、考えを整理する時間が必要なのかも知れない。

そんなふうに大抵はひとり時間を穏やかに有意義に過ごしているのだけれど、まれにマイナスに作用していってしまうことがある。

気持が疲れすぎているとき
悩みが深くなっているとき
理不尽な思いをしたとき

「もう!ひとりにしてよ!」と言いたくなるときの “ひとり時間” が、そう。

おだやかに癒されるどころか、自分の感情が上手くコントロール出来なくて、悩みが深みにはまっていく感覚と似ている気がする。どんどん心が閉じていってしまって、孤独感が顔をのぞかせる。

そうすると、家族と過ごしていても心が開かなくなってくるし、家の外へ出るのも億劫。このまま引きこもっていられたら良いのにな、なんて考えるようになってくる。

振り返るとそんなときは生きる上でのバランスが崩れているのだろうな。

よく人から「ひとりで過ごすのなんて寂しくない?」と言われるが、わたしにとってひとりは寂しくない。孤独じゃない。けれども、何かのはずみに孤独にもなり得るものなのだ。









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