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書評『シニア右翼ー日本の中高年はなぜ右傾化するのか』古谷経衡著

古谷経衡氏の『敗軍の名将 インパール・沖縄・特攻』が良かったので、新刊の『シニア右翼ー日本の中高年はなぜ右傾化するのか』を読んでみた。

「書評」と銘打った割に、私も時間がない中でいそいそと読み、いそいそと書くので、あまり大したことは書けないかもしれないことをご容赦いただきたい。

それと内容を詳らかにここに書くのも違うと思うし、やはり実際の本を手に取って読むのが一番であるから、印象論的な記述になることもご容赦いただきたい。


古谷氏はかつて「気鋭の若手保守系言論人」として活動した経歴を持つ。その経験を踏まえ、彼にしか書けないような内容となっている。
というのもこのタイトルにあるように、『シニア右翼』というのがどういうものなのかをきちんと語れる人は彼以外にまずいないからである。
サブタイトルの『日本の中高年はなぜ右傾化するのか』、その過程を彼なりに分析している。これは日本のITインフラの発達の影響が大いにあるとの分析であるが、私も古谷氏と同世代であるから、「言われてみればそうかもしれない」と思わされることがあった。というか、このような分析を見聞きしたのは初めてだったから、少々驚きでもあった。

元々、僕自身はこの『シニア右翼』という言葉にピンとこなかったのだが、古谷氏の前著が良かった故、手に取ることにした。
結果として、読んでよかったと思う。
今回は時間の関係もあり、じっくり吟味しながら読めたわけではなく、細かい点については古谷氏の推論もあると思うので、またじっくりと読めればよいと思う。
近現代日本史について、古谷氏はかなり造詣があると思う。プロの著作家としてはこれくらいの知識量は欲しいところである。
その豊富な知識をしての「シニア右翼」批判である。かつて「シニア右翼」と同じ釜の飯を食った古谷氏なので、なかなかの説得力である。

とりわけ、私が古谷氏に共感するのは、先の大戦についてのきちんとした反省がなされない状況で民主主義は達成しえない、という点である。
そして、日本が敗戦よりこれまで、なぜ戦争に対するきちんとした反省がなされなかったか、という背景まで述べられているので一読されたい。
単に「戦争はあかん」という認識よりさらに踏み込んで、「なぜ戦争へ突入していったのか」という点についての検証及び反省である。

この本を読んで、市民の一人一人が自ら歴史を学んだり、本を読むことがとても重要だなぁと再認識している。

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