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慣れとモチベーション

私は昨年9月から今の職場で働き始めた。それまで特許事務をしていたが、特許事務所でしか働いたことがないのは社会人として一人前と言えない気がして、それがずっとコンプレックスだった。だから、初めて一般企業に転職した。

30代にして業種も職種も変わり、多分私は挫折した。今までにないほど無力感や世間知らず感を痛感し、やっている時は分からなかったけど、特許事務という仕事に知らず知らずの内に愛着を持っていたことにも気付いた。

特許事務所と一般企業との一番の違いは、誰の物を取り扱っているかだと思う。つまり、事務所は代理人として、クライアントの権利を直接扱わせてもらっている一方、企業は自社の製品やサービスを扱っているということ。特許事務をしていた頃は、お客様の権利なのでミスできないというプレッシャーが大きく、人様の物だという意識が自然とモチベーションになっていた。その観点では、大げさに言えば医療にも似ているかもしれない。しかし、企業に入り、お客様のためとは言え、初めて自社の製品やサービスを取り扱うようになり、モチベーションの持ち方に戸惑っている。勤続年数が短く、正直言えば愛社精神がまだそれほどないこともその一因かもしれない。

更に、入社から半年ほど経ち、一通り慣れたと思い始めたところで在宅勤務が導入され、職場との距離が開いてしまった。自分の中に慣れた感が定着する間がなかったため、その感覚が少し後退してしまった気がする。私は元々寝るのが不得意なのだけど、最近は時々出社する前日は緊張してしまうのか絶対に眠れない。眠れないことが心配でまた眠れない。う~ん、繊細なものだ。

モチベーションも眠れないことも、一朝一夕には解決しないだろう。それまで、とりあえずできることからじわじわやっていこう。挫折からの伸びしろは人一倍大きいと信じて。