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【ロック名盤100】#21 Blonde On Blonde - Bob Dylan

 今回紹介するのはボブ・ディランが1966年6月にリリースした「Blonde On Blonde」だ。前作「Highway 61 Revisited」に引き続きフォーク・ロック路線を追求して完成させた2枚組アルバムである。そう、1966年当時ではロックにおける2枚組というのも珍しく、他でいうとほぼ同じ時期にリリースされたフランク・ザッパ&マザーズ・オブ・インヴェンションの「Freak Out!」くらいのものだと思う。
 一聴すると「追憶のハイウェイ61」とあまり変わらない内容のように聴こえるかもしれない。しかしこちらの方がよりアルバムとしてのまとまりがあるのではないか。ボブ・ディランが夢想する世界が一貫して表現されているように感じる。ボブ・ディランもそんな旨のコメントを残している。「僕が心の中で聞いているサウンドに最も近づくことのできたのが「ブロンド・オン・ブロンド」だ。それは自由に動き回る水銀のようなサウンドで、とにかく黄金に輝いている。これが僕の特別なサウンドだ」

1 Rainy Day Woman #12 & 35
2 Pledging My Time
3 Visions of Johanna
4 One of Us Must Know (Sooner or Later)
5 I Want You
6 Stuck Inside of Mobile With the
  Memphis Blues Again
7 Leopard‐Skin Pill‐Box Hat
8 Just Like a Woman
9 Most Likely You Go Your Way and I’ll Go
  Mine
10 Temporary Like Achilles
11 Absolutely Sweet Marie
12 4th Time Around
13 Obviously Five Believers
14 Sad Eyed Lady of the Lowlands

 ハーモニカが印象的な「レイニー・デイ・ウーマン」や宗教的側面も覗かせる詞をともなう「ビジョンズ・オブ・ジョアンナ」、言葉の響きが心地良く、楽天的な雰囲気の漂う「アイ・ウォント・ユー」さらには優しげな声で聴く者の心を癒す「ジャスト・ライク・ア・ウーマン」あたりは特に注目すべきトラックだ。
 本作を聴いてみるとボブ・ディランが投影した世界に没頭してしまうような感覚がするのでさないか。「追憶のハイウェイ61」からさらに磨き上げられた完成度を堪能できる内容となっている。次回はだいぶ飛んでディランの最高傑作のひとつ「血の轍」を紹介したい。

↓「ジャスト・ライク・ア・ウーマン」

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