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路上詩人*突然出会う人達の不思議

突然、本当に突然出会うことがある。

それは自分がそう思うだけなんだけど、
(前にどこかで会った?)的な勝手に親しい感じ。

実際、本当に、どこかの時点で視界に入っていて、
意識の底から親しみが湧きだしてくる感じ。

スーパーでお会計を終えて、袋詰めをしている時に
(と言っても今日は、ベージュに赤の水玉の布製あづま袋)
備え付けの小さなポリ袋を一枚引き出した。

いつもはアルコールで指を濡らしてめくるのだけれど、
事務用のメクールみたいなのが乾いていて、出来ない。

指ぬらしと言った方がいいのかな?

ラムネ瓶みたいな、コロコロボールが入っているやつ。

指でポリ袋の入れ口をクシャクシャして開けようとしたけど、
今日に限って上手く出来なかった。

それだけ指先も乾燥肌すぎるという、
加齢の現実にドドーンと落ち込む。

高いハンドクリームも意味ないじゃん。

隣のサッカー台のメクールも確認する。

乾ききっている。

どうして誰も補充しないのだろう。

年末が近づいて忙しいのだろうか。

当番というものは誰もいないの?

「僕が開けてあげますか?」

ヘルメットを被った、
小学生のイケメンに声を掛けられた。

丁寧で大人の感じの物言いだけでなく、
落ち着いた声が将来ダンディになりそう。

イケメンは、購入したおやつを入れるつもりで、
ポリ袋を引っ張っていた。

「じゃあ、おばちゃんのもお願い」

「はい、どうぞ」

秒が変わらぬうちに渡されて、驚く。

自分が年を取ったことに。

こんな子供ですら簡単にできるではないか。

「ありがとう。若い子は早いね」

負け惜しみのような、ババアみたいな台詞が口をついて出た。

ああ、恥ずかしい。

私の潜在意識はババアだったのか・・・。

一瞬の躊躇はあった。

この子をなんと呼べばいいのか?

「僕」というには「お兄ちゃん」で、
「お兄ちゃん」というには大人びていて、
つい発した「若い子」というのは、
もはやエロジジイみたいなニュアンスではないのか。

ああ、恥ずかしい。

ヘルメットを被っているから、
自転車でおやつを買いに来た近所の小学生だ。

ころんだのか痣なのか、
頬に会津塗りの金虫喰きんむしくいみたいな跡がある。

一期一会だから、早く忘れようと思う。

相手が子供で良かった。

気づかせてくれてありがとう。


路上詩人という人達がいる。

ほんの少しお喋りして、
そのイメージで詩のような文章を
すらすらと筆文字で書き込んでくれる。

彼らはいったい相手の何をみているのかと思う。


長方形の白い色紙しきしに、
すらすらと自分流の筆さばきで書き込んで、
最後に私の名前と自分の角印を押して、出来上がりだ。

彼の場合は。

肩までの黒髪を無造作に束ねて、片耳にピアス。

髭がなければ女の子にいそうな顔だ。

彼は一体、私の何を見たのだろうかと不思議だ。

忘れられないあの笑顔。

「はい、どうぞ」

いつもの日々の
当たり前の中に
何か自分の世界を追求

愛も平和も

言葉で手に入れる自分の人生を


花の種じゃなくて、苗を買ってもいいですか?あなたのサポートで世界を美しくすることに頑張ります♡どうぞお楽しみに♡