7年点検に見る庵治石の魅力
お正月に7年目を迎えたお墓の手入れを行いました。
その際改めて気づかされた庵治石の魅力について、お手入れ方法と共にお話したいと思います。
結論として、『自然な手入れによって自然素材は魅力を増す』ということを述べたいと思います。
このお墓は、石の表面を小さく叩く「小叩き仕上げ」という手法が用いられています。小叩き仕上げには庵治石に含まれる雲母をキラキラと輝かせる効果があり、この輝きは何年たっても失われません。
ここで興味深いのは、こういった特徴が、ある程度のお手入れによって更に魅力を増していくということにあります。
石のお手入れの際に気をつけなければならないこととして、あまりゴシゴシと力任せにこすったり、洗剤を無闇矢鱈と使うことをしないということがあげられます。
今回は、自然素材のたわし(亀の子たわし)と水のみを用いて掃除をしていきました。
まずは適量の水を石全体にかけて、しばらく放置します。
この「しばらく放置」がポイントとなり、表面で固まっていたよごれもある程度ゆるい状態となり、あまり力を入れずに短い時間で汚れを効率よく落とすことに繋がります。
たわしも、あくまで表面の汚れに毛先がぎりぎり届くようなイメージで滑らせるように扱うことで、石自体へのダメージを最小限に留めることができます。
最後に再度水をかけて汚れを流し、乾いた雑巾で水を拭き取ります。
建立時の様子と比べると、少し黒味が増して、庵治石の特徴の一つである『斑(ふ)』と呼ばれるまだら模様がより強くなると同時に、雲母の輝きはその事によってさらに増したかのように見受けられます。
こういったお手入れが人の手と自然素材との呼応となって、磨き仕上げにはない魅力を作り出していくと考えています。
《注》今回のお手入れの話は、あくまで『小叩き仕上』の石に対する個人的見解と実体験によるものです。
設計、左官、古民家改修等、日々の活動から得た考えや気づきを共有させていただけたらと考えています。