上杉康介アトリエ

内装の設計事務所主宰。長年空き家だった古民家に移住し、整えながら暮らしています。 「本…

上杉康介アトリエ

内装の設計事務所主宰。長年空き家だった古民家に移住し、整えながら暮らしています。 「本質的で心地の良い秩序と調和がある空間」を提供し、社会に貢献することを心掛けています。  http://kosukeuesugi.com/

最近の記事

初めての松剪定

松のお手入れをすることになった経緯 現在の家に移り住んでから、庭のお手入れは定期的に行ってきました。 基本的に自然の力にお任せして、自分はその補助をするくらいのスタンスです。 黒松のお手入れは、素人考えで特に必要であるとは思っていなかったのですが、大家さんから剪定のご依頼をいただきました。 以前住まわれていた家主の方が、庭いじりが大好きでマメに手入れされていたことが伝わってくるお庭なのですが、空き家になってから8年もの間に、年に数度の庭師さんの手入れになり、一回ずつ

    • 「木」の本質を5冊の本から学ぶ〈後編〉

      木材の種類は大きく2つに分けられると思います。ひとつは機械的に製作された合板や集成材といった材料、他方は木の個別の性格を見極めて加工された無垢の材料に分けられます。 人間と木材との距離を考えたときに、その関係が機械的か否かが一つの分岐点のように思われます。つまり、他の人工素材と同様に(木を見ず)機械的加工を施す場合と、その木を(場合によっては潜在的に)いのちとしてとらえて扱う場合とに分けられます。 法隆寺、薬師寺で棟梁をされた西岡常一氏は、次のように述べています。 人

      • 「木」の本質を5冊の本から学ぶ〈前編〉

        今回とりあげる本は以下の5冊です。 「木」を題材にした5冊の本から、「木」の本質を改めて考えてみます。 当然ですが、これらの本の中には、「木」という共通のお題に対して、あらゆる立場の経験や見聞からくる知恵や知識が綴られています。 その中で、敢えて今回は「木」と「人間」という本質的な部分がどのように語られているかということに焦点を当てていきたいと思います。 幸田文氏は、後でとりあげます西岡常一氏との会話の中での見聞を次のように述べています。 この内容は、『木に学べ

        • 7年点検に見る庵治石の魅力

          お正月に7年目を迎えたお墓の手入れを行いました。 その際改めて気づかされた庵治石の魅力について、お手入れ方法と共にお話したいと思います。 結論として、『自然な手入れによって自然素材は魅力を増す』ということを述べたいと思います。 このお墓は、石の表面を小さく叩く「小叩き仕上げ」という手法が用いられています。小叩き仕上げには庵治石に含まれる雲母をキラキラと輝かせる効果があり、この輝きは何年たっても失われません。 ここで興味深いのは、こういった特徴が、ある程度のお手入れによっ

        初めての松剪定

          左官が本質的である理由

          左官という職業が本質的であると考える理由を述べていきたいと思います。 結論として、『人間自体が自然の一部であり、左官で用いられる材料(自然素材)との親和性を考えると、人間と左官との関係が初源的であり本質的である』と考えます。 全生命が、『日光、空気、土、水』といった大自然の4つの力で生きていると言われますが、左官はそのいずれとも深い関係があり、『人間は自然の一部である』という考え方にも合致します。 『日本の壁 / 山田幸一著 / INAX出版』に、左官工事の起源

          左官が本質的である理由