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DIYで生まれた科学館

千葉県・柏駅の西口を出て、路地に入り徒歩数分、「柏嶋屋荘」という古いアパートを訪ねました。
柏嶋屋荘は、集合住宅…というか集合空き家・空きアパートですが、その中は科学館に変身し、間もなくオープンを迎えようとしています。開館準備で慌ただしい館内へ、一足先に潜入してまいりました。

2階建てで上下3室ずつ。1階の2部屋が繋がって展示室になっていて、海の歴史や海で暮らす生き物に関する企画展が準備されています。

化石や標本が並びますが、どこかに収蔵されていたものや購入したものはわずかで、近隣の子どもたちと作製した展示物が数多く並んでいました。

というのも、科学館を運営しているのは、2010年に東京大学柏の葉キャンパスに所属する大学院生を中心に発足した「柏の葉サイエンスエデュケーションラボ(KSEL)」。
科学のイベントを実施する学生サークルでしたが、イベントを通じて地域の方々と交流を深め、いまでは近隣のさまざまな職業の社会人も運営メンバーとして参加するようになっています。
KSEL主催の人気イベントに、1~2泊で小学生を中心とする子どもたちと自然体験を楽しむ「理科の修学旅行」というのがあり、この科学館の企画展では、2015年から2017年に実施した、地質や海に関する理科の修学旅行の成果物を展示しているのです。

「理科の修学旅行」で学んだことがまとめられた子どもたちの自由研究作品には、観察したことや考えたことが、思い出と一緒にたくさん詰まっていました。

館内を飾るのも、「理科の修学旅行」から持ち帰った貝殻やシーグラス。科学館なので、手にとって観察できるものがたくさんあります。

ミュージアムショップコーナーも。
観察したり標本を作製したりするのに便利なグッズ、関連書籍を購入できます。
(写真奥で見切れているのは、館長の羽村太雅さんです。)


そして何より、注目しなければならないのは内装です。

空きアパートから科学館への変身作業は、職種も特技も幅広い運営メンバーの手によって、ほぼDIYで行われました。

こんなことでもなければDIYなど体験しなかったであろう都会っ子の学生・若者たちを中心に、壁を破って壊すところからスタートして約1年がかけられたアパート改修作業。その様子も、大事な記録として科学の展示とともに公開されていました。

展示室の隅にある本棚には科学にまつわる本がたくさん並び、自由に読むこともできます。わたしも3冊ばかり、おすすめ本を置かせていただきました。
・鈴木康広さん「りんごとけんだま」
・小倉ヒラクさん「夏休み! 発酵菌ですぐできる おいしい自由研究」
・小倉ヒラクさん「発酵文化人類学」

館内ではコーヒーや紅茶を販売していて、お茶を飲みながら、展示物を眺めたり、標本観察をしたり、スタッフとおしゃべりしたりしながら、ゆったり過ごすことができます。
そんなふうに街なかで人々が集まり、科学や哲学のディスカッションを繰り広げた場が古代西洋にもあったそうで、その場所の名前をとって、科学館の名前は「Exedra」になりました。

街の人たちとともに創る「街まるごと科学館『Exedra』」@柏嶋屋荘。
2018年1月14日(日)10:00にグランドオープンです。


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街まるごと科学館「Exedra」
毎週土・日曜 午前10時~午後5時 開館
入館料600円(2回目以降割引、年間・月間パスポートあり)

さいごまでお読みくださり、ありがとうございます。