Akira Kuratani

某ベンチャー企業で働くエンジニアリングマネージャー

Akira Kuratani

某ベンチャー企業で働くエンジニアリングマネージャー

マガジン

  • Manager’s notes

    マネージャーの役割・スキルなどについて考えをまとめるためのノート

最近の記事

ピープルマネジメント:目標管理制度の変遷

ビジョンに基づいて高い基準を設定し、マネージャーがフィードバックすることでチームの方向性を醸成していくことに貢献することを説明しました。 今回は、よりチームの方向性を明確に示すための方法である「目標管理」にの変遷を振り返る。 期限と概念の誕生 目標管理制度の起源は、1950年代に経営学者ピーター・ドラッカーが著作の中で、目標設定とその達成を重視するマネジメント手法を提唱した。ドラッカーは、従業員が自身の目標を設定し、それに向けて努力することで、個々のパフォーマンスが組織

    • ピープルマネジメント:ビジョンを高い基準で明確にする

      前回は、高い基準に基づいてフィードバックすることの重要性について説明した。では、「高い基準」とは一体なんだろうか?今回は、この「高い基準」について解説する。 マネージャーが持つ「高い基準」の正体は、マネージャーが持つ理想とするビジョンに根差した要求である。マネージャーは理想とするビジョンを言語化し、メンバーに伝えることである程度の基準を示す。しかし、マネージャーが持つビジョンを言葉だけでメンバーに共感してもらうことは非常に難しい。 そのため、ビジョンと現実のギャップを具体

      • ピープルマネジメント:コーチングスキルはなぜ必要か?

        前回は、マネージャーは高い基準を設定し、メンバーにフィードバックすることの重要性を説明した。 今回は、ピープルマネジメントにおいてコーチングスキルがなぜ必要なのか考察する。 ピープルマネジメントにおいてコーチングスキルが求められる理由は、現在の組織運営の変化に対応するためである。従来のピラミッド組織では、生産性を追求するために、マネージャーには優秀なメンバーが昇進し、自分の知識やスキルをメンバーに教える職人的なマネジメントスタイルが主流だった。 しかし、現在の組織運営に

        • ピープルマネジメント: 1 on 1 で高い基準に基づいてフィードバックすること

          前回は、1 on 1 を内省を習慣づける場として活用することを紹介した。 定期的に 1 on 1 を実施するなかでマネージャーはメンバーに内省を促す問いを発することで、メンバーは内省する力を身につけ、自立していく。 もう一つの 1 on 1 で実施することとして、マネージャーが持つ基準を伝えることがある。マネージャーが持つ高い基準に基づいてフィードバックすることは、チームやメンバーのレベルを引き上げるために非常に重要である。 目標のクリアリティ メンバーは自分の業務や目標

        ピープルマネジメント:目標管理制度の変遷

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          17本

        記事

          ピープルマネジメント:1 on 1

          前回は、マネージャーが持つべきマインドセットについて解説した。しなやかマインドセットはすべての人が持つべきマインドセットだが、マネージャーは特に理解しておく必要がある。 なぜならば、マネージャーはメンバーがしなやかマインドセットを持っていることを信じること、メンバーにしなやかマインドセットを持つように導くこと、を実践することが求められるためである。 今回はマネージャーとメンバーの間に築いた信頼関係を利用してメンバーの成長をサポートする「1 on 1」について説明する。 「

          ピープルマネジメント:1 on 1

          ピープルマネジメント:しなやかマインドセット

          前回は、ポジティブ・フィードバックの重要性について説明した。今回は信頼関係を築くための前提となるしなやかマインドセットについて説明する。 しなかやマインドセットは、柔軟で適応性があり、変化や調整に対して前向きな姿勢を持つことである。マネージャーやメンバーがしなやかマインドセットを持つことは、お互いに信頼関係を築くための基盤となる。 しなやかマインドセット しなやかマインドセットを持つ人は下記のような特徴がある。 柔軟性と適応性 新しい状況や環境に対して柔軟に対応し、適

          ピープルマネジメント:しなやかマインドセット

          ピープルマネジメント:ポジティブ・フィードバック

          前回は、信頼関係を構築するために傾聴(アクティブ・リスニング)のスキルが重要であることを説明した。 今回は、ポジティブ・フィードバックについて取り上げる。 ポジティブ・フィードバックは、組織内での個人の成長やパフォーマンス向上を促進するための重要なコミュニケーション手段である。ポジティブ・フィードバックは、個人が成功や優れた行動を示した際に、その成果や強みを認識し、称賛することである。これによリ、個人は自信を深め、継続的な成長とパフォーマンス向上に向けた意欲を高めることが

          ピープルマネジメント:ポジティブ・フィードバック

          ピープルマネジメント:傾聴(アクティブリスニング)

          前回は、自己開示によってマネージャーとメンバーの相互理解を深めることが信頼関係の構築に有効であることを説明した。 マネージャーは他者とコミュニケーションを取る機会が多くなる。そのため、コミュニケーションを円滑にするための重要な手段として「傾聴(アクティブ・リスニング)」が非常に重要なスキルとなる。 傾聴とは、単に相手の言葉を聞くだけではなく、その内容や意図を理解し、相手の感情やニーズに共感することである。傾聴では、相手の発言に真剣に耳を傾け、相手の立場や視点を尊重し、適切

          ピープルマネジメント:傾聴(アクティブリスニング)

          ピープルマネジメント:自己開示による信頼構築

          前回は、ザイオンス効果、接触を継続することで相手に対する好意や信頼が高まるという基本的な心理原理、を応用して、マネージャーとメンバーの信頼構築のために 1 on1 などの接触を増やすことが有効であることを説明した。 マネージャーとメンバーの信頼関係を築くために、自己開示は非常に重要である。自己開示とは、自分自身に関する情報や感情を他者と共有することである。以下では、自己開示が信頼関係構築にどのように役立つか解説する。 まず、マネージャーが自己開示することによって、メンバー

          ピープルマネジメント:自己開示による信頼構築

          ピープルマネジメント : ザイオンス効果による信頼構築

          前回は、ピープルマネジメントにおいて信頼関係を築くことの重要性について説明した。信頼関係が築けていないとマネージャーの言葉がメンバーに届かず、どんなに優れた戦略を立案できたとしても現場で実行されず、チームが機能しない。 では、どのように信頼関係を築いていけばよいのか? 信頼関係を築く方法として、ザイオンス効果を利用する方法がある。 ザイオンス効果は1954年にアメリカの心理学者、ジョセフ・ザイオンスによって発見された社会心理学の分野で用いられる概念の一つである。人間は相

          ピープルマネジメント : ザイオンス効果による信頼構築

          ピープルマネジメント : 信頼関係

          マネージャーが組織内のメンバーをピープルマネジメントしていくためには、まずメンバーとの信頼関係を築くことが重要となる。 信頼関係の重要性 組織内での信頼関係は、チームの構築性やメンバーの満足度に直結する。信頼がある環境では、メンバーが自己表現やアイデア提案を行いやすくなり、チーム全体がより創造的で効果的な解決策を見つけることができる。 また、信頼関係があると、メンバーは失敗やミスを恐れずに挑戦し、成長する機会を得ることができる。さらに、信頼関係はコミュニケーションを円滑に

          ピープルマネジメント : 信頼関係

          内省の技術:コミュニケーション

          前回は、内省を実践するためのツールとしてジャーナリングを紹介した。 ジャーナリングでは自分の内面に向き合い曖昧な思いを明確にしていくことができる。 内省を実践していくことでコミュニケーションスキルの向上に繋がる。具体的には下記のような効果がある。 自己認識の向上:自身のコミュケーションスタイル、言語の選択、ボディランゲージ、そしてこれらが相手にどのように受け取られるか理解する。自己認識が高まると意識的にコミュニケーションのアプローチを調整し、相手により良い影響を与える方法

          内省の技術:コミュニケーション

          内省の技術:ジャーナリング

          前回は、より内省を深めるために意識しておくべき思考のくせについて紹介した。 今回は、内省で用いることが多いジャーナリングについて説明する。ジャーナリングとは、さまざまな目的で行われる個人的な記録の習慣であり、日記よりも幅広く特定のテーマや目的に焦点を当てたり、感情や思考を言及したりする。 ジャーナリングの利点 ジャーナリングの利点としては下記のようなものがある。 自己理解の向上 - 自分の考え、感情、反応を書き留めることで自己認識が高まる ストレスの軽減 - 悩みや

          内省の技術:ジャーナリング

          内省の技術:思考のくせ

          前回は、問いの質を上げるために有用な方法として、フレームワークやコーチングを紹介した。 内省を実践していくと内容がマンネリ化し、良い気づきを得ることができなくなってくる。これは自身の持つ思考のくせによって無意識的に同じようなことばかりを考えてしまい、新しい観点で考えなくなってしまう。 継続的に内省していくためには、この思考のくせを意識下に置くことが重要となる。つまり、自身の思考のくせがどういったものなのか理解することで、日頃の内省において思考の偏りに素早く気付いたり、あえ

          内省の技術:思考のくせ

          内省の技術:問いかけの質を上げる

          前回は、自分自身に良質な問いを問いかけることが重要であり、、そのために問いかけのフレームワークが活用できることを説明した。 内省のための問いかけとしてフレームワークは有用なものではあるが、定型化してしまう。問いかけが定型化してしまうと問いの品質が低下してしまい、内省を多様な視点から深めていくことができなくなってしまう。 問いかけの質を上げていくには思考の幅を広げるような思考のコンテキストにあった問いかけがあることが重要である。つまり、対話的に深掘りしていくことが思考を深め

          内省の技術:問いかけの質を上げる

          内省の技術:自身に問いかける

          前回は「自己理解を深める」ために、「意見」「経験」「感情」「価値観」の4つに切り分けて可視化する「認知の4点セット」を紹介した。「認知の4点セット」といったある種のフレームワークを活用することで効果的が内省できるようになり、自己理解を深めることができる。 なぜ、フレームワークが効果的だろうか? これは、独りでは気付き切れない観点を考えることができるフレームワークの特性のおかげである。ただ内省しているだけでは「感情」「価値観」について思考を深めることは難しい。つまり、フレー

          内省の技術:自身に問いかける