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自分のための親孝行

わかちゃんは、全力で楽しむのが得意だ。
今したいからする。
するつもりだったけれど、数分後に
したくなくなったからしない、
といった気分屋さん要素も
十分にあるのだが、
予定を立てたがりの私より
予算が頭に浮かびやすい私より
「今」を楽しむ才能があると思う。

ディズニーシーで、
1番に興味を持ったのは
シンバのヘアバンドだった。
意気揚々と頭につけて
鏡を確認している姿は、
まるで女子高生だ。

青年になったシンバのぬいぐるみを
見つけると、
「のっぽ!」遠くから呼ばれる。
「見てみて!シンバの大人バージョン!」
まるで少年のように
持ち上げて報告してくれる。


そう。
わかちゃんは、シンバが大好きだ。
前回のディズニーで
シンバのぬいぐるみを買ったときは、
それはそれは幸せそうな顔をしていた。



ディズニーシーには、
本当にいろんな人が来ていた。

大家族で海外旅行なのだろうか。
8人ほどの集団が、
さすが本場のノリ!というテンションで
子ども向けのアトラクションに
大喝采している。

インディ・ジョーンズの列では、
カップルが前に並んでいる。
女の子が男の子を見つめる
そのきゅんきゅんした眼差し。
好きな人を前にした女の子は、
本当に可愛らしい。
友達には決して向けられないその眼差し。
私も一度は受けてみたい。

小学生の女の子とお父さん。
手を繋いでいる。
女の子の手をしっかりと包んだ
お父さんの大きい手。
いつか、この手を離して
大切な娘を見送るときが
このお父さんにもくるのかなぁと
1人想像してしまう。

ソアリンの前の列。
40代ほどの女性と80代くらいの女性。
親子なんだろうな。
母と娘で来てるんだろうな。
2人でお揃いの
ディズニーのパーカーを着ている。
60分は並ぶ列だ。
それでも、私のおばあちゃんと
同じお歳くらいのおばあちゃんが
リュックを背負って、
時折、娘と談笑しながら並んでいる。


それぞれの物語がそこにはあって
もうなんだか
心がいっぱいになってしまった。



私の父は、海外旅行を断固拒否している。
でもね、おとん。
ソアリンは凄いから。
一度で良いから乗って欲しい。
お母さんと共に。


かくして、私は2人を誘った。


「ソアリンは一度乗ってほしい!
ディズニーシーに一緒に行こう!」


善は急げ。



唐突な娘でごめんよ。
「両親にソアリンを楽しんでもらいたい」
私の自己満足を
満たすために、付き合ってくれ。




ちなみに、お決まりの
わかちゃんのお腹でつかえる
安全レバー問題。

「俺の腕をレバーの代わりにして!
つかまって!」

愛しい優しさ。
今回も私のお尻は宙に浮き、
半立ち状態で急降下した。





来年もこうやって
笑い話にできるといいな。

記事を見つけて下さり、最後まで読んでいただきありがとうございます。 少しでもなにか心に残るものを届けられていましたら、こんなにも嬉しいことはありません。