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自分には見えにくいもの

青は画用紙の上に寝転がった。

大きく伸びをしていたら、
青の上に、たくさんの白が
きゃっきゃっとはしゃぎながら
乗ってきた。

青の上では、
そこかしこで白が踊っている。

時々、あんまりにもくすぐったくて、
青は笑った。

白を驚かせたくなかったが、
笑うと息が漏れて、
白は吐息とともに流れていった。


あるとき、白は泣いていた。

肩を揺らすことなく、
静かにその色を濁らせて、
白から水滴が落ちる。

青はなんとか
白の涙をぬぐってあげたくて、
でも届かなくて

そっと、橙が
白をなぐさめてくれるのを待った。

白は、橙に気が付くと
悲しかったことをすっかり忘れ、
もとの真っ白な白に戻って
ひなたぼっこを始めた。


あるとき、白がどこにも見当たらず、
青は不安で寂しくなった。

そんなときは、
毎回のようにきらきらと輝く紫が
そっと青を包んでくれた。

時間が経って紫がそっと離れ、
かわりばんこのように
橙の明りを感じると、
白は橙と手をつないでやってきた。

どうやら一緒に散歩をしていたようだ。

青は、ほっとして
今日も遠くからそっと白を見守る。



今日も、無事でありますように。



そんな青を、
紫たちは可愛いと思った。



今日も、笑顔でありますように。

今日も、元気でありますように。


記事を見つけて下さり、最後まで読んでいただきありがとうございます。 少しでもなにか心に残るものを届けられていましたら、こんなにも嬉しいことはありません。