「中学英語激闘編」プロローグ
息子が生後11ヵ月の時、思いがけなく文筆の道へ進んだ私は、ずっとずっと夢見ていた。子育てのドタバタから解放されて、執筆活動に専念できる日を。心の支えは先輩作家様の言葉、「中学生になれば部活で帰りも遅いし、接する時間は3分の1くらいになりますよ」――中学生になれば。中学生になりさえすれば。だがそれは、中学最初の小テストで発覚した、息子の絶望的英語力(のなさ)との死闘の始まりだった……!!
【おもな登場人物】
私:青井夏海。小説家。神奈川在住。本編の語り手。
カイ:青井の一人息子。1999年生まれ。お笑いファン。
夫:青井の配偶者、カイの父親。サラリーマン。
子育てにおける信条は「子を持って知る俺の恩」。
当手記の執筆にあたり、今はもう成人を迎えようとしている息子から「オレに弾丸(たま)が当たらないようにしてくれ」と強く要請されたため、息子のことは「カイ」という、本名にかすりもしない仮名で表記することとした。由来は、「仮面ライダー電王」に登場した謎の(怖い)青年の名。放送当時8歳だった息子がカイの手帳に興味を持ち、ああいうのが欲しいというので適当な手帳を買い与えたところ、ページを繰り何事かふんふんとうなずきながらカイになりきって遊んでいたという思い出から。
息子の通った中学・高校、塾、受験した大学、最終的な進学先等も、もちろん名称を伏せている。読者様におかれましては、万一「あぁ、あそこね」と思ったとしても気づかなかったことにして忘れていただきたく、どうかよろしくお願いします。
第1話:お助け人走る! ...そして、つまずく
第2話:あなたは何を犬しますか。
第3話:君は s をつけたか
第4話:英検チャレンジ5級編
第5話:いつも鞄に教科書を
第6話:みんなの広場だ基礎英語
第7話:八重の桜は咲いているか
第8話:伊豆大島に朝は来たか
第9話:見よキャンパスの風に鳴る旗
第10話(完結編):すべてのドアを開け
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