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小説を書くための七つ道具 万年筆かフリクションか <小説の書き方>

小説家と言えば、万年筆が良く似合います。特に昔の手書き原稿が主流だった頃は作家の商売道具だったようです。原稿用紙のマス目を万年筆がカリカリと音を立てて埋めていく、その光景には憧れたものです。

では実際のところ、小説執筆に際して、万年筆を使っているかどうか、私の実体験からお話しします。

プレゼントされた万年筆

「島田荘司選 福山ミステリー文学新人賞」を受賞したときに、ある人から高級万年筆をプレゼントされました。これを使ってどんどん書きなさい、ということでした。

とは言っても、執筆はワープロです。その手前のアイディア出しの時のメモ用に万年筆はもったいないです。
書き上がった原稿を印刷して推敲するときに修正用に使おうと決めました。
早く万年筆を使いたかった私は、とりあえず原稿を最後まで完成させて、原稿の最後に<了>と打ち、そわそわと印刷したときのことを思い出します。
(その原稿は、本当に直すところが多かったです。本末転倒です)

実際に使うのはフリクション

パイロットの『こすると消える』フリクションボールペン。
実際のところ、原稿の推敲・校正にはこれが一番活躍してくれます。推敲や校正は、一回で決まるわけではなく、書いては直し、また書いては直しの繰り返しです。書いたそばから「この言葉じゃない」「ここは平仮名」「改行しよう」などと次々に修正を加えます。
すると原稿は真っ赤になり、何が何だか分かりません。そういう時に、フリクションがとても役に立ちます。消してまた書き直せば良いのですから。

私の校正作業手順で言うと
・印刷した原稿を読み直し、フリクションで修正
・PCのワープロ原稿に修正を反映。その際に修正忘れがないように
 鉛筆でチェック
・印刷して、正しく修正されているか、前後にミスがないかチェック
・再度読み直してフリクションで修正…… 以降、この繰り返しです。

校正作業については別の記事に詳しく書きましたので、よかったら一読ください。

0.7ミリか1ミリがオススメ

これはもう好みですが、私は0.7か1ミリの書き味が好きで使っています。1ミリだとややインクの切れが気になるので、ゲラ校正の時などは0.7ミリです。
色は種類が豊富ですから何色か用意して気分を変えています。

ゲラ校正には必須

これは小説家になってからの話ですが、原稿を出版社に入稿すると『ゲラ』(実際に本になる体裁で印刷されたもの)が出ます。これを読み直し、訂正を手書きで入れます。

その訂正した部分を、また読み直して再度訂正します(クルッと回って元に戻すこともあります)。その時にはフリクションが無いと困ります。
鉛筆での修正は受けてもらえませんので、ボールペンの体裁だけれども消して書き直せるフリクションは、なくてはならないアイテムなのです。
私の聞く限り、ゲラ校正にフリクションを使う作家さんは、非常に多いです。

※なお、量の多い修正は、印刷所がそのまま使えるようにワープロで打ったデータにして送ります。ゲラには「ここにデータAを挿入」などと指示します。

最後に

ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
万年筆は、お守りのような存在で
実戦はフリクション、でした。



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