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エレベーターの中、秘密の時間

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短編小説1〜3のまとめ。 R-18ですのでお気をつけて。
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エレベーターの中、秘密の時間 (3)【終】

エレベーターの中、秘密の時間 (3)【終】

前回の続き、今回で終わりです。
前回同様に、R-18ですのでご了承ください。

会社を出る前に化粧を直し、髪型を整え、消えてしまった香水を振り直す。ホテル前に着いたのは約束の時間の十分ほど前だった。真紀がラウンジを見渡すと菅野はソファ席に座りウィスキーのグラスを傾けながら待っていた。遅くなりました、と声をかけて向かいに腰を下ろすとファジーネーブルをオーダーする。
今までのことが妄想の中の出来事だっ

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エレベーターの中、秘密の時間 (2)

エレベーターの中、秘密の時間 (2)

前回の続きです。
ちょっとだけR18なので苦手な人は読まないでください…

「ごちそうさまでした。おやすみなさい」
「楽しかったよ。おやすみ」
短く言葉を交わしタクシーを降りる。タクシーが走り出す瞬間、菅野が真紀の瞳を捉え微笑みかける。今まで見せたどの微笑みよりも淫らでそれでいて穏やかな、そんな微笑みだった。

部屋に戻りシャワーを浴びる。菅野が触れた部分をもう一度なぞる。頬を耳たぶを唇を首筋をな

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エレベーターの中、秘密の時間

エレベーターの中、秘密の時間

幼馴染の披露宴パーティーが終わり真紀はまだ賑やかな会場を一足先に後にする。酒とタバコの臭いが体に絡みつく。はしゃいでいる人に混ざるのはどうも好きになれない。愛想笑いも話を合わせるのも苦手だし、疲れる。エレベーターのボタンを押しため息をつきながらエレベーターホールで“ひとりきり”を噛みしめる。ぼんやりと待っていると足音が近づいてくる。見ると会社の上司の菅野がネクタイを緩めながら怠そうにこちらへ向かっ

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