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読書感想「世界から守ってくれる世界」

お久しぶりの読書感想noteです。

これは!!!
と思う本に出会ったら書きたくなっちゃうな〜〜。

ということで、書きます。

以前に書いた
「塩の樹と森の人魚」
の著者さんの第一作です。

正直ね、Xのフォロワーさんの本だから読もう
っていう不純な動機で読み始めました。

なんですけど…
「これは、今の私に必要な本だな」
「私のお守りになってくれるような本だな」
と思いました。

あらすじ

不仲な両親の間で、体と心が2つに裂かれるような痛みを味わう薫子。性的違和を感じ、ある日突然セーラー服で登校し始めるクラスメイトの中鉢。それぞれが抱える戸惑いに互いにシンパシーを覚え、心友となった2人が見つけた「居場所」とは...。

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14歳ってさ、微妙な年齢だなって読んでて思ったんですよ。

義務教育だから、大人からみたら子どもで
子どもからしても、働くところがないから
親の庇護下にいるしかない。

でも、冷静に大人のことを見て大人みたいな考え方をしたり
けど、その考え方はまだ子どもで危なっかしくて。

高校生よりも、子ども。
でも、着実に大人に近づいている。

そんな年。

だからさ、大人のことをすごく冷静に
この本の主要人物の2人は見ているなって。

子どもに当たる母親。
母を無意識に煽る父親。
子どもをコントロールしようとする大人。
急に変わったクラスメイトを腫れ物のように扱うクラスメイト。
思春期独特の容姿いじり(いじめ)。
大人の顔色を伺う子ども。

既視感のある出来事がたくさん。

この主要人物たちに私の過去を重ねてしまうくらい
既視感のある出来事ばっかり。

母親に当たられても、父親がうざくても
家を出たら生きていけないと思っていた。
だから、少しくらいは我慢しようって
大人の求める私でいようとしたこともあるし。

眉毛をいじってバカにされたこともあるし。
化粧をバカにされたこともある。
「お前らがブスって言って来たからだろうが」
って思って、喧嘩になってこともある。

無条件に優しくしてくれる大人に
不信感を持ったことも。

学校に行かないと未来が悪い方向に進むんじゃないかって怖くて
でも、家にも居場所なんてなくて
どうしていいかわからなくなってパニックになったことも。

あぁ、主人公たちが必死に思春期を過ごしていたように
私も必死だったなぁ。

無理に大人にならなくちゃならなかった。

でも、大人になった今、過去の私に伝えたい。

自分のことだけ考えてもいい。
自分のために生きていい。
学校に行かなくても、いろいろな世界がある。
家に居場所がなかったら、別の場所を居場所にしてもいい。

伝えてあげたい。
大丈夫だよって。

ぜひ、若い子に読んでほしい。

って思ったけど、大人にも読んでほしい。

私は、子どもの頃
20歳を超えたら自然と大人になれると思ってた。

心も。

でも、その境界線って実際なくて
ずるずるいろいろなことを考えて
なんとなく、この年までやってきた。

気づいたら結婚して3児の母になってて
今4人目を妊娠している。

今でも、大人の定義はわからない。
あの頃、思っていた大人にはなれていない。

子どもの頃の私が出てくる場面は今でもある。

疲れて、子どもにわからない言葉で
自分の都合で子どもを怒ってしまうこともある。

でも、それじゃいけないと思って
「大人なんだから」「母親なんだから」って
自分を制御する場面もある。

この本の

お父さんとお母さんはお互い、この小さな子を抱きしめてほしかっただけなんじゃないのかな。
父とか母とか、夫とか妻とか、男とか女とかいう役目はどうでもよくて、ただ誰かに抱きしめて撫でて大丈夫って言ってほしかっただけなんじゃないのかな。

世界から守ってくれる世界

という文を読んで思わず泣いてしまった。

そうだ。
きっと私は、そうやって誰かに守られたかったんだ。ずっと。

なんの役目も捨てて、ただ誰かに「大丈夫」って抱きしめてほしかっただけなんだ。
って。

大人なんだから、妻だから、母親だから。
頑張らないと。我慢しないと。

17歳から自分で生計を立ててきた。
20歳になる前に母親になった。

きっと、誰かに認められたかった。
頑張ったねって言ってもらいたかった。

年をとったからって、大人になれるわけじゃない。
大人になったからって、甘えたくなる瞬間がなくなるわけじゃない。

でも、そんな瞬間があってもいいんじゃないか。

近くにいる人に、ただ
「抱きしめて」と言っても。
子どもみたいに甘えても。
時には、子どもより自分を優先することがあっても。

いいじゃん。

14歳の主人公に、気付かされた。

そして、お父さんが主人公を「天使」というシーン。

私も思い出した。

1人目ができた時、出産した時。
この子に会うために私は産まれて来たんだ。
そう思った。

この子のためならなんでもできる。

初めて自分よりも大切な存在ができた。
そう思ったのに。

いつの間にか、その存在が当たり前になって
辛くあたってしまう瞬間がある。

そうだよ。
当たり前じゃない。

そうやって思ってたんだよ。
大切な存在なんだよ。

改めて気付かされた。

これは、私のお守りになる本だな。

そう思った。

大切に、大切にしようと思う。

若い子も、大人も。
老若男女に読んでほしい。

自分を大切にすることの大切さ。
人を大切にする難しさ。

人生で大切なことがたくさん書かれている本。

皆様にもぜひ読んでほしい。

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