見出し画像

前川國男邸・その3 私的考察 ライト的な手法/前川國男    建築探訪 その11

前川國男邸 3回目である。見学以来ずーと気になっていた事が有った。あのアプローチ>玄関>玄関ホール>居間 の空間の連続性若しくはシークエンスである。

玄関ホールから入ってすぐの空間変化


ふと思い当たった。あれはライトの手法だと。実体験として自分がライト建築を体験したのは、目白の自由学園と明治村の帝国ホテル、先日の展示会の住宅の原寸模型だけだが。
ライトの特徴の一つとして、空間の操作があり、特に暗く狭い玄関から明るく広い居間へ急に視覚的にも体感的にも劇的に変化させるものがある。
まさに前川國男邸もそうだと。
思い返すと師弟関係で、前川國男氏はル・コルビュジエ弟子だけでなく、帰国後アントニオ。レーモンド事務所でも研鑽を積んだ。
ライト>レーモンド>前川 の師弟関係もある。
また、実際に担当した崎谷小三郎氏はレーモンド事務所にいて、前川國男氏に連れられて独立した。だから当然ライト的レーモンド手法も身につけていたと思われる。
そう思うと、腑に落ちた。アプローチ左手の低い大谷石の目隠し塀。見えない玄関ドア。狭い玄関。低い天井。そこから、吹き抜けの居間。正面の大きな開口部。あれは、自由学園の食堂の構成と同じである。
居間の南北の桁の低さ。特に玄関ホールから入ってすぐの天井は2階の床の下で2m位しか無い。そう、あれはライトの手法だ。

ここまで書いて、この事は誰も言っても書いてもいない。藤森氏も書いていない。だから私的考察である。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?