第二話 とあるランプへの怒り

ある日、画像検索している中で、あのランプに似たものを過去に制作したことのある国内の古道具・アンティークリメイクショップに出会う。

あのランプが手に入らないのなら、せめて似ているこのランプでもいいので欲しい。そう思い、またもインスタでDMを送ってみる。

「過去のものですが、こちらはもう制作することは出来ないでしょうか?」

店主は言う「作れますよ」

あまり期待していなかった故、まさかの返答に鼓動が早くなる。
早速オーダーし、代金をすぐに振り込んだ。価格は1万円だった。

それから数日、店主からの連絡はなく、速る気持ちを抑え待っていたが、2週間ほど経ったときに、我慢ができず進捗を聞きたく、納期を問い合わせてみた。

すると店主は彼の予想外の回答を出す。

「通常業務もしながらなので時間がかかっています。来月中にはお送りできると思います」と。

まさかの返答に愕然とした。

その時点で2週間経っていたが、そこからさらに1ヶ月以上も待つなんて。

納期にも驚いたが、このオーダーは通常業務内ではないのか?料金を払っているのだから、業務の中でも優先されるべきではないのかと、店主のスタンスへの苛立ちを感じずにはいられなかった。

「あんなの1日あれば作れるだろ」

素人ながらそれが本音だった。
実際にはパーツを集めたりする必要があるのかもしれないが、それでも約2ヶ月もかかるなんてあまりにも馬鹿げている。

たが既に代金を払っているうえに、店舗は同じ関東圏内とはいえすぐに行ける場所でもない。
仕方なく待ち、やがて発送の連絡があった。

画像1

届いたランプは、たしかにオーダーしたものと相違なく、ソケットもアンティークのものであったが、やはり本来求めていたあのランプと比較すると雲泥の差であった。
そもそもこのお店は、あのランプを模して作られたものではないので当然だが、それにしても2ヶ月近く待ったにしては、あまりにも安っぽく雑な作りであったし、納期に関して届く前からケチがついたと思っていた。

そして、このことがきっかけで、彼はそのランプを自作するための準備をはじめた。

道具もなにもなく、知識もない。
加工が最低限で済むように近いパーツを探しては少しづつ集めていった。

ひと通り揃ったところで早速制作に取り掛かる。
仮組みだが1時間もかからずに形になった。

画像2

素人でもパーツさえあればすぐ出来ると証明し、ますますあの店へ不満がこぼれそうになったが、こちらの言い分があればあちらにも言い分はあるだろうと大人しく納得することにした。

しかしながら、この経験をキッカケに、気づけばアンティークのランプパーツを集めて自作しはじめていた。
ネットで様々なランプの知見を得ては自作へのアイデア、インスパイアへとアウトプットし、アンティークランプへの理解と知識を深めていった。

いつかあのランプに出会えることを夢見つつ。

ー第二話 完ー


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