第一話 とあるランプとの出会い

「はぁ。。」

今日も収穫なしか。

このところ毎晩のようにネットサーフィン、正確には目的を持って巡っているので波乗りというよりはダイビングだ。
そう、ネットの奥深くまで潜っていた。

彼が探しているのは、50'sのフランス製と思われるCAGEランプ(電球の周りをガードする目的のカゴのようなものが覆っているためそう呼ばれる)だ。

アンティークどころかランプ、ライトにすらそれほど興味もなかったある日、インスタをつらつらと眺めているときにふと目に入ったとある投稿写真。そこにはアンティーク調の木製ラックの中に滑車を通して吊るされ、ほのかに灯された小さなランプが映っていた。
それが今彼が探し求めているランプだ。

画像1

その写真を見てからというもの、どうしてもそれが欲しくなり、そのランプが映っている場所は北海道のとあるカフェで、店内の監修を務めたのがFIVE FROM THE GROUNDさんということがわかった。


幸運だったのが、FIVE FROM THE GROUNDさんは、アンティーク品やリメイク品を販売している店も構えていることだった。

もしかすると手に入るかもしれないと、早速オンラインのアイテムリストを見ると、やはり過去に販売されていた。

しかしアンティークゆえの1点もの。
たまたま入手していたと思われる3点分のライトが販売され、当然というべきか既にソールドアウトしていた。

彼はいてもたってもいられずインスタでDMを送る。
「もう販売予定はありませんか?」

店主からの回答は「問い合わせも多いので探してはいるんですけど、なかなか手に入るものではないので。。」

そうだよな、、と彼は肩を落とし、しかし可能性は0ではないと思い込むことで気持ちを保った。

それからというもの、彼はランプの世界、そしてアンティークの世界に徐々に浸っていき、ランプやリメイク用に使えそうな品を買うようになり、アンティークショップや蚤の市の情報なども集めるようになっていった。

しかし、彼の心が満たされることは無かった。この道へと導くこととなったあのランプを、どうしても忘れることができず、ネットで探すようになる。

ー第一話 完ー


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