第四話 とあるランプへの想い

期待半分で参加したガレージセール
扱っている商品は全てアンティークの1点ものなので、競合した場合、誰よりも早くオーダーを完了する必要があった。

気合いを入れて臨んでいた彼は、セールのオープンから2分以内には決済を完了していた。

手に入れたのはあのランプではなかったが、似てるランプが売りに出されたこと、そしてその争奪戦に勝利したことへと興奮していたが、安堵とともに気持ちを落ち着かせつつ改めて商品写真を眺める。

あのランプと同じような造りだが、廉価版のような簡単な作りのものであった。

それでも、前にオーダーしてケチがついたランプとも、自分で作った素人作品とも違い、間違いなく過去いち手に入れて嬉しいランプであった。
もしセールをチェックしておらず、後から気づいたとしたら激しく後悔したことだろう。

数日後、北海道より届いたそのランプは、記載されていたとおり配線など自分で行わなくてはいけなかったが、これも運命なのか、一連の出来事でランプ制作の配線スキルを身につけつつあった彼は、持っていたパーツを使い、点灯できるものへとすぐに完成させた。

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あのランプはまだ手に入れることはできていないが、あのランプに限りなく近いランプを奇跡的に入手できた。
ランプの灯りが祝福していた。

気持ちに一区切りつくことが出来たが、その後もネットでの検索は続けていた。

今この瞬間に世界の誰かがネットにアップするかもしれない、それに気づかず誰かに買われてしまうかもしれない、この特有の強迫観念に押されながら、やはりあのランプに出会うまでは終わらないのだった。

とはいえ、アンティークランプというジャンル自体が好きになっていた彼は、趣味程度にリメイクランプの制作を続けていた。

だが、見よう見真似、思いつきだけでランプを作ったりパーツを集めたりしていたが、そもそもこんなことをしたかったわけではない。
すべてはあのランプを手に入れたかったからこそ始まったものであり、部屋にいろんなランプが増えていっても埋まらない心を否定できなかった。

彼は疲れ始めていたのだろう。
本当に欲しいもの、欲しい形、納得いくものをじっくり作るよう、スタンスを再調整しようと思い始めていた。

これまでの経緯、そしてこの気持ちの変化はすべてここに繋がる運命なのだろうか
彼はついにあのランプに出会うこととなる。

ー第四話 完ー


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