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アフガニスタン緊急退避(NEO)から1年と日本周辺の事態

アフガニスタンの友人の話

ちょうど1年前(2021年8月15日)、アフガニスタンのカブール陥落の際、アフガニスタン人の友人に安否を尋ねたところ、ちょうど家族を国外脱出させている最中でした。

最近、その友人とキャッチアップしたところ、当時カブール空港前で発生した群衆のStampedeで兄弟が負傷。知り合いも飛行機にしがみついていた結果、落ちて亡くなったといいます。

本人は、運良く第三国に退避できた方々の衣食住と健康上のケア・通訳・難民申請などに従事。一人で命からがら逃げた子供や、逆のパターン(親のみ)などの事例がいくつもあり、皆が着のみ着のままで、血だらけの方も多かったと、壮絶な様子を話してくれました。

アメリカのアフガニスタン緊急退避(NEO)

アフガニスタン緊急退避(NEO: Non-combatant Evacuation Operations)について、米軍のミリー統合参謀本部議長は、「戦略的失敗、戦術的成功」と評しています。

カブール陥落を招いたことは米国の戦略的な失敗だったが、バイデン大統領がアフガニスタンからの撤退を宣言した4月から、いざというときに備えてNEOの準備を開始していたため、8月に一気に事態が暗転した際には、迅速にNEOを発動できたという戦術レベルでは成功だったという意味です。

日本への示唆

ここから読み取れるのは、以下の2つ。

  1. 迅速に退避させるオペレーションを平時から構築しておく重要性

  2. 国内の受け入れ体制を整えておく重要性

台湾有事など、日本の周辺でこのような事態が発生した際に、その対象が日本人であれ、他国人であれ、大規模なオペレーションを展開できる十分な体制が今の日本にあるのでしょうか。

日本が最近経験した大規模な緊急退避オペレーションは、以下の2つ。

  1. 2020年 COVID-19パンデミック(中国・武漢からの退避)

  2. 2021年 アフガニスタン政変(カブールからの退避)

いずれも政府の報告書というものは出ていないようですが、NHKが「武漢退避! その舞台裏」と「緊迫のアフガン13日間 退避ドキュメント」という以下の記事を出しています。

カブールからの退避は、その結果として2022年の通常国会において自衛隊法が改正され、対策が強化されています。果たしてそれで十分なのか否か。検証し、さらなる進化が必要でしょう。

アフガニスタンの友人の話は、「いつか」を見越し、今から準備しておくこと(プリペアドネス)の重要性をリアルに感じた出来事でした。

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