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ジョリーフォニックスとの出会い

英単語はつづりを何度も書いて練習、暗記して覚えるものだとずっと思っていました。sun、rainのつづりは「スン」「ライン」と覚え、なぜ「サン」「レイン」と読むのか考えたことはありませんでした。

そんな私が2001年、英国留学中にホストファミリーの娘さんが勤めていた幼稚園に遊びに行きました。そこでは、日本の子どもがひらがなを練習しているのと同じように、現地の子どもがアルファベットの文字の形と音を練習をしてる姿が。

子どもが文字を学ぶ時、日本語も英語もそこまで大きな違いはない。

幼稚園の先生から私も直々にジェスチャー付きの「フォニックス」を教えてもらった時の衝撃を今も忘れません。

アルファベットの文字には名前(エィ、ビー、シー、ディー、イー…)と音(ア、ブ、クッ、ドゥ、エ…)があるということに、この時、初めて気がつきました。文字の音を組み合わせれば、知らない単語を読むことができます。当たり前すぎて、笑いが込み上げる。なぜ日本の学校では教えてくれなかったのだろうか。

「フォニックス」とは、アルファベットの「文字」と「音」の関係を教える教授法です。アルファベットの「音」を覚えることが、英単語を読み書きする時にとても大切、というか、当たり前のことだったんですよね。

フォニックスを知ってから、私は知らない英単語を読もうとするようになりました。街に出ていろいろな看板を声に出して読んで、嬉しくなりました。ひらがなを覚えた子どもが、街にある看板の字を読もうとするのと同じです。

英単語をカタカナでメモしていた時、LlとRrはどちらも「ラ行」、thはカタカナで正確にその音を書けない、余計な母音がついてしまうので、辞書で単語を見つけるのも一苦労です。

フォニックスがわかってからは、初めて聞いた単語も英語でメモし、後から辞書を使って意味を調べることができるようになりました。

知らない英単語を声に出して読める、英単語の発音を聞いたらアルファベット文字で書ける。これは外国語を長年習っていれば、できて当然なことなのではないでしょうか。でも、中高6年間英語を学んできた私は、これができませんでした。

日本ではどれだけの人が初めて聞いた英語をカタカナではなくアルファベットの文字を使って書くことができるでしょうか。また、知らない英単語を読む方法を教わってきたでしょうか。

英単語のつづりを知らない人に、一つひとつの文字にどの「音」があるのかを教え、文字と音をヒントに英単語を「読む」「書く」ことができるよう指導していく手法を「シンセティック・フォニックス」と言います。

例えば、sun というのは「エス、ユゥ、エヌ」とは読みません。それぞれの文字が s(ス)u(ア) n(ン)という音を表しており、その音をつなげてサンと読む。このように、文字から音を思い出し、それらの音をつなげて単語として読む「ブレンディング」ができれば、初めて見る単語を自分の力で読むことができます。

聞いた単語が何の音でできているか聞き取る「セグメンティング」ができれば、音から文字を思い出し、その単語を英語で書くこともできるようになります。

10年以上経ち、英国の幼稚園で見た指導がJolly Phonics(ジョリーフォニックス)だったことがわかりました。それから自分なりに勉強して、実際に子どもたちへ指導を始めます。2015年に職場の同僚と共にJolly Phonicsトレーナーになりました。理由は、この指導法は日本の幼児期・児童期の子どもたちに最適だと信じていること、その良さを日本でも広めたいと思ったからでした。

Jolly Phonicsの日本での第一人者である山下桂世子先生は、次のように説明しています。

日本ではひらがな指導を小学校一年生で始めます。その時、子どもたちは一文字ずつひらがなを学習します。例えば、筆順の少ない「つ」「く」「し」を学ぶと、この三つの文字を組み合わせて、「くつ」「つく」「つくし」というように子どもが自分で単語を読み書きできるようになります。
フォニックスでも同じように、まず s という文字は(息の抜けた)スという音、次に a は口を大きく開けたエに近いアという音、そして t は舌で上顎を弾いて出すトゥという音というように、一つの文字に一つの読み方があることを学びます。そして、この三つを組み合わせると at, sat という単語が読み書きできるようにしていきます。
五十音を入れてから、次にひらがな指導では「私は」の「は」「学校へ」の「へ」など読み方が変わる文字を指導します。フォニックスでも、同様で、a という文字が「ア」ではなく「エィ」と読むことを、
「ア」という読み方が定着した後に指導します。そして、日本の小学校ではひらがなの次に
カタカナや漢字に移ります。例えば、「一」は「いち」、「人」は「ひと」と読むけれど、
「一人」となった時は例外的に「ひとり」と読むことを教えます。英語のsheも同じで
「sh」は「シ」、「e」は「エ」と読むけれど、shとeが重なった時には「シェ」では
なく「シー」と読むというように指導をします…
(Jolly Phonicsトレーナー 山下桂世子先生)

フォニックスは日本語の「ひらがな50音表」と同じだと考えてもらえばいいと思います。この方法は、まだ言葉の数が少ない幼少期の成長段階にハマりますし、生涯続く英語学習をぐっと楽にしてくれると信じています。

フォニックスで全ての英単語を読める訳でなく例外もあります。でも、少なくとも単語に対する抵抗感を下げ、暗記だけに頼らなくて済むようになります。

日本でできる外国語の学びの第一歩として、英語の文字の音を楽しんで身につけること。その学習を通して、日本語と同じように、外国の文字の音を覚えれば、外国語を自分の力で読むことができて、音をそのまま記録できる。これに気がつくことは、将来別の言語を学ぶことになった時にも、役に立つと考えています。


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