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離島の暮らしについて。その①

皆さんは"島暮らし"というやつに憧れたことはありませんか?

美しい自然に囲まれていつも聞こえるのは車や人のざわめきではなく鳥のさえずりと波音で、毎日仕事が終わると水平線に沈む夕日を眺める。アクティビティは釣りにダイビング、そして海辺でヨガ。

文章にしてしまうとちょっとイタイですが、実際に朝は鳥の鳴き声で目が覚めて、流れ星も毎日見られます。

私は幼少期に数年ですが日本屈指の離島で過ごし、そして最近までとある任務で一年間の離島暮らしをしていたので、その経験について少し書いていきます。

今回は島の食糧事情についてお話ししようと思います。

コンビニがない。

島には当然本土で見かけるコンビニはありません。買い物できるところといえば個人商店が1~2件あるくらいで、慣れ親しんだコンビニスイーツやジャンクフードなんかは一切口にすることができません。

菓子パンなんかも、島に入ってきてるのはヤマザキだけ、なんてこともよくあります。神戸屋のミルクフランス食べたかったなぁ、ま、ランチパックでいいか。

コンビニのから揚げとかって、ほんとにふとした時に食べたくなりますよね。だけどそれが叶わない。セブンイレブンのから揚げ棒は海の向こう数千キロ彼方にあります。ああ。

そんな島にある商店はどんなに遅くても夜8時には閉まってしまうので、夜、突然思い立って何かを買いに行くということはできません。お風呂上りに何か飲みたいな~と思ったら、遠くの自動販売機まで暗闇のなか車を出さなければなりません。じゃあ水でいいか。

物価が高い

これはちょっと意外かもしれませんが、島は輸送費がかかるので本土で買うよりもなんでも高いです。2割り増しくらいします。目薬が一個700円だったことがあり、涙で目が潤ったためその目薬は買いませんでした。

本土だと薬局や業務用スーパーなんかだとお菓子が大袋ですっごく安くなってたりしますよね、でもそういうラッキーなことはありません。島では100円で買えるお菓子なんてほんとに無いですよ。

賞味期限が切れているのは当たり前

台風などの天候不良の際は船が港に着岸できないため島に食料が届きません。冬季や台風の季節は何日も届かないこともたびたびあります。

島の人は風向き波の高さやうねりにかなり敏感で、いつも気象庁の天気の画像をチェックしているので、島の人が「今日は晴れているけど、波が高いから船は着かないかな」というと本当に船が欠航になります。驚異的な的中率で当たります。

すると島の人(特に育ち盛りのお子さんがいる家庭のお母さんたち)は商店に急ぎます!卵や肉を買わないと!私の仕事が終わるころ店は強盗でも入ったのか?と思うくらい商品がなくなっています。まぁ私は一人暮らしなので適当にごはんに缶詰のツナをのっけてやり過ごすので問題ありませんでしたが。

そしてやっと食料品が島に届いたころには、賞味期限はギリギリどころか既に切れています。チーン。

当たり前ですが賞味期限が切れても陳列されるし値段も下がることはありません。

ある日島の商店にブドウが売っていて、値段が高いのでやっぱりなかなか売れないんですよ。そしてブドウは一粒ずつ傷んでいくんですが、そうすると商店の人が傷んだブドウの粒を房から外すんです。そして商店の店先には傷んで粒が外されてすかすかになったブドウがいつまでもおいてあるんですが、やっぱり値段は下がらず誰も買わない・・・。これは島の食糧事情をよく現しているエピソードだなぁと思います。

島で生きるためには。

まず、島では山菜なんかがそこらへんの駐車場にぼうぼう生えていたりするので私有地でなければ勝手に取って食べることができます。私は毎日そこらへんの山菜を採ってはおひたしにして食べていましたが、けっこう美味しくてハマりました。

島の人しか知らない山菜スポットがあるらしく、島で採れたタラの芽やタケノコが商店で安く買えます。島では畑を営んでいる人もたくさんいますので、畑で採れた野菜は普通の値段で手に入ります。

魚やイカなんかは安く買うことができてとても美味しいです。

お恥ずかしい話ですが私は一人暮らしで、任務のために島に来ていたということもあり、よく近所のおじさま・おばさまからいろいろなものをいただいていました。

つまり、本土から送られてくるものは必要最小限だけ買って、できるだけ島で育てられたものや島で摂れたものを食べれば安く済むし新鮮でおいしいということになりますね。 

いかがでしたでしょうか?

コンビニないなんて無理!って思いましたか?それとも、意外といけるんじゃないかと思いましたか?私もコンビニがないところなんて暮らしていけるかなぁ、と思ってましたけど、島を出るころにはなくても生活できるっていうことがよくわかりました。

"○○がないと生きていけない~"なんていうのは、自分の思い込みなのかもしれませんね。島で暮らすと、なくても大丈夫なものがどんどん増えていって、ある意味気分がいいですよ。

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