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名津乃 綾【季節】

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季節を感じて書いた作品を 集めております 春夏秋冬…。
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2019年11月の記事一覧

温もり

温もり

冷たい風が
頬をよぎり
苦手な
寒い季節が
やってくる
朝は暗く
日暮れは早く

春も夏も秋も
短いのに
冬だけが
長く
私の身体を

芯から冷やしていく

寒さで凍えた手に
冷たいね…と

ふと…

君が私の手を握った

とても
暖かく柔らかな

まだ少し

小さなその手に
包まれた瞬間

冷えた心と身体が

暖かく

溶けていった

霜月の…

霜月の…

道に落ちた銀杏の葉が

はらはら風に踊る

残り少ない霜月の 今宵は新月

11月27日作品

白いため息

白いため息

上着も着ずに
慌てて外に出た早朝

思わぬ寒さに
もう11月だった…と
気づかされた

私の足音に
道端でウトウトしていた
猫が
ビックリして
音もなく逃げる

いつの間にか

ずいぶん高くなった
空を見上げ

時の速さに
思わずため息をすれば

白い息が
冷たく透き通った
朝の空気に

溶けていった…

午後に…

午後に…

ふと

うたた寝から目覚めたら

窓から差す
秋の日差しが

頬の涙を

光らせた