『比較政治資金制度』:選挙費用の支出額上限規制を設けよ!!
※本記事は、海外諸国の政治資金規正について、まとめた記事になります。
ですので、情報が入り次第、随時、更新していきたいと思います。
1.選挙資金が高くなれば成る程、企業や団体が、政治をコントロールしやすくなる
まず、一般的に、選挙資金が高くなれば成る程、企業や利益団体が、政治に影響を与えやすくなると言われております。
ですから、企業や利益団体が、有利になりすぎるような政治が特に行われている場合には、献金額の上限規制や、個々の候補者や政党の選挙費用の支出規制を設ける必要があると思います。
2.海外の政治資金規制制度
イギリス
まず、イギリスでは、1883年の段階で、腐敗及び違法行為防止法と呼ばれる法律によって、選挙運動期間における候補者個人の選挙運動費用の支出額に上限を設けたそうです。
しかし、20世紀後半から選挙運動が全国化し、政党本部の選挙運動への関与が増大すると、候補者個人の選挙運動に係る資金の規制のみで政党の政治資金全般の直接的な規制を行わない制度の限界が露呈するようになった事から、1990年代以降の政治資金需要の増大や外国からの不正献金疑惑等を背景に、「2000年政党、選挙及びレファレンダム法」(PPER法)が制定され、ようやく政党の政治資金にも規制が設けられることとなったとの事です。
①献金規制
選挙資金の支出制限
また、イギリスでは、かなり厳しく選挙費用の支出規制を設けている事で有名で、一説によると、議員一人当たり選挙費用は300万円までとされているようです。
フランス
フランスでは、1970 年代以降の政治資金需要の高まりの中で政党が非合法な資金に頼るようになり 、1980 年代に入ると、金銭不祥事が相次いだとの事です。
また、地方分権が進む中、建設業者等が公共事業受注の見返りに政党・政治家への政治献金をするという政治腐敗が全土に拡大したため、このような状況に対する国民の批判等を背景に、1988年に、政治資金の透明性に関する法律が制定され、選挙運動費用及び寄付の制限、収支報告義務、政党国庫補助 等が導入されたとの事です。
収入の制限
支出の制限
カナダ
1974年の選挙支出法によって構築されたカナダの政治資金規制は、政党及び候補者の支出制限を中心とする制度であり、寄附について量的な制限はなく、質的制限としても外国からの寄附を禁止する程度にとどまっており、また、公的資金による助成は部分的なもので、政党の一般的政治活動に対する国庫補助制度は存在していなかったそうです。
しかし、企業その他の大口寄附者からの寄附が次第に問題視されるようになり、2003年の選挙法改正によって、寄附制限は大幅に強化され、この改正の結果、政治献金は原則として個人の行うものに限られ、企業等団体による寄附は、例外的にのみ認められることとなったとの事です。
寄附の制限
支出の制限
3.日本も、一選挙区当たり300万円までの支出規制を設けよ!!
やはり、自民党を中心に、地方議員に対する賄賂や汚職と疑われるような行為や、企業からの贈収賄のような行為が横行しており、また、実際にそういった行為で有罪判決を受けている議員が数多くいる事から、社会の治安維持という観点から、選挙費用の支出規制は、設けざる負えないのではないかと感じております。
また、国会議員達も、"お金が掛かって仕方が無い!"という声を度々上げているので、国会議員達の私有財産を守り、あるいは、選挙に挑み、落選した人々の負担を軽減するためにも、選挙費用の支出規制は有効であると考えます。
ですから、私は、個人の支出と政党の支出を合算して、候補者一人につき、一選挙区当たりの選挙資金は約300万までに制限すべきだと思っております。
4.企業・団体献金によって政治が歪められるという事が意味するもの
日本においては、主な企業や利益団体の献金額は、だいたいが、 6500万~1000万とされておりますが、よく考えれば、"たったの6500万~1000万円の投資で、国家予算100兆円分の予算を手に入れられる事に等しい"とみなす事が出来る訳で、その費用対効果は、数百万倍にも昇る凄まじいものであると言える訳です。
故に、行きすぎた献金を許容したり、献金を渡した一部の大企業のみを優遇する政策を行う事自体、非常に倫理観に欠けた行為であり、国民や社会からも、到底許容されるものではないという事は間違いありません。
参考文献.
・米英独仏の政治資金制度
・イギリス政治はおもしろい (PHP新書)
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