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『蜜蜂と遠雷』静かな世界にピアノよ、響き渡れ。

 ピアノの演奏音が大切な映画で、その他の物音やささやき声は、ほんとに小さな音量で、抗しがたく耳を澄ますことを、観る者に求める。その過程で聴くピアノは、数多の表象をみせる。まるで、光る生き物のように。
 主演4人の演技は、人格を深く表現できており、鈴鹿央士のピュアさ溢れる演技は、姿を変えて、他の作品でも観てみたい。
 石川慶監督の作品にしては、圧倒的な完成度という訳ではないが、映像化が難しい小説を、ときに幻想と現実を行き来しながら、巧みに描いており、流石である。

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