見出し画像

バーチャルスニーカーが人気のワケ ~実際には履くことのできないスニーカーが人気です。3DCGテクノロジーで作られ売買されているそれらが指し示す未来とは?

 2021年4月、日本初のバーチャルスニーカー「エアスモークワン(AIR SMOKE1™)」が世界最大級のNFTマーケットプレイスである「Rarible」「OpenSea」に出品されると、販売開始わずか9分で落札された。価格は5ETH(イーサ)。当時日本円で約140万円。このスニーカーを世に送り出し、以降も快進撃を続ける1SECの代表・宮地洋州さんに話を聞いた。

世界初の”煙が出るスニーカー”を所有することがステータスに

 エアスモークワンは一点物。ヒッピー文化を意識したカラフルな配色と、ソールから煙が出るのが特徴です。140万円を高いと見る向きもありますが、10年後、20年後には何倍もの値が付いているかもしれない。メタバース(仮想空間)が普及したときに、「世界で初めての煙が出るスニーカーを僕は持っている」ということがとてつもないステータスになる可能性もあります。
 私たちの会社、1SECは19年1月の設立で、バーチャルテクノロジーの企画、開発を行っています。バーチャルヒューマンを手掛けた後、21年にデジタルファッションブランドレーベル「ワンブロック(1BLOCK)」を社内に発足させました。エアスモークワンを皮切りに、バーチャルスニーカー「エアスモークゼロ(AIRSMOKE ZERO)」シリーズを、これまでに100点以上リリースしており、いずれも最低取引額が約110万円となっています。
 数あるファッションアイテムの中からスニーカーを選んだのは、私自身がスニーカーコレクターだから。履かないスニーカーを何十足も持っています。バーチャルでも、スニーカーはやはり同じようにコレクション好きの心をくすぐりワクワクさせてくれます。今ではナイキも参入し、バーチャルスニーカー市場はますますの活況を呈しています。

デジタルファッションレーベル「ワンブロック」 からの第一弾として販売されたバーチャルス ニーカー「エアスモークワン」。レインボーカ ラーが流れるように変化し、ソールからはス モークが湧き出る

Web3がもたらすもの

 私たちが見据えているのは、XR(クロスリアリティ)が発達した世界。メタバースの中に自分のアバターがいて、そのアバターに着用させるデジタルファッションが非常に大きなマーケットになるだろうと見込んでいます。世界に4億人以上のユーザーを持つといわれるオンラインゲーム「フォートナイト(Fortnite)」で、スキンと呼ばれる、アバターのコスチュームの売買がすでに行われていることは、その萌芽といえるかもしれません。 
 22年4月には、デジタルファッションアイテムをAR(拡張現実)でリアルな体に試着させることができるアプリ「メタドリップ(METADRIP)」を発表しました。
 また、犬をモチーフにした3DCGアバターのコレクション「メタサムライ(MetaSamurai)」も好評で、ファッションブランドのコーチやビームス、ルパン三世などとのコラボを行っています。
 Web3が主流となる時代には、誰もが簡単にアクセスでき、アイデンティティを拡張しながらクリエイティブなことで勝負できる場所が、
現実社会にプラスしてもう一つ出来上がるのではないでしょうか。それはハッピーな感じの社会だと、私は思っています。

3,333体の3DCG アバターコレクション 「メタサムライ」

話:宮地洋州さん(みやじ・ひろくに)
株式会社1SEC代表取締役CEO。 1SECは2019年1月設立。ロサンゼルスと東京に本拠を持ち、XR事業を中心としたソフトウェア開発、ブロックチェーンコンテンツの開発プロデュースを手掛けている。これまでに培った知識・経験を活かし、企業のWeb3市場参入を支援する「1BLOCK LAB」も展開。

写真提供=1SEC

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?