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偽善

なんだかんだいって、noteは人気ポータルである。
その人気の一端が垣間見えるのはエントリを保存する際に出るメッセージだ。
「下書きを保存しました」の後に下記の一言がランダムに添えられる。

執筆おつかれさまです。
疲れたら目を休めてくださいね。
続きが楽しみです。
執筆がすすんだら軽く休憩してみましょう。
また会えるのが楽しみです。
また書きに来てくださいね。
読み直すと新たな発見があるかも?

これはプロのライターでも、というかプロのライターこそ動揺するに十分な言葉ではないだろうか。
ライターにとって最初に原稿を読むのは担当編集者(もしくはクライアント)だが、こんな言葉をかけてもらうことなどまずない。
何しろ一行書いて保存しただけで「執筆おつかれさまです」と言ってくれるのだ。
しかもブログごときに「執筆」と言われるとこそばゆさを通り越して鼻の奥がつーんとなる。
世の中の人たちはこんなに優しくねぎらわれていたのか。
今までのわたしの人生はなんだったのか。
noteに書く前と書いた後では見える景色がまるで違うではないか。
これではモチベーションの化け物になってしまう。
わたしなど、ねぎらいの言葉が何パターンあるのか知りたくて編集、下書き保存、編集、下書き保存を数十回くり返し、その度にねぎらわれた。
泣くかと思った。
しかし同時に、こんなに甘やかされていいのかとも思う。
裏があるのではないか。
考えてみれば、noteは好きで勝手に書いているのである。
ギャラは発生しない。
逆にいえば、間違っていようが炎上しようがnoteは何の責任も取らない。
「不細工は死ね」と書いて下書き保存をしても「また書きに来てくださいね。」といたわる。
そう考えると、こんなに心のないことはない。
なんなんだ。
失礼すぎる。
どういうつもりなのか。

……とここまで書いて下書き保存したら「また会えるのが楽しみです。」と言われた。
え、こんなわたしにも優しくしてくれるの?
そっか、ごめん。
わたしの心が狭かった。
例え心がなくたっていたわりの言葉はあるだけいい。
やらない善より、やる偽善。
noteよ、今夜もありがとう。

ただ、「公開」を押すと「公開しました」としか言わない。
すごく冷たい。
「あーあ、公開しちゃったか、下書きのままなら応援したのに」というnoteの声が聞こえる。
そもそも創作物なんか、公開すべきじゃない。
心のなかにしまっているうちが花である。


【本日のスコーピオンズ】

3曲目「Leave me
デビューアルバム『恐怖の蠍団 - Lonesome Crow -』(1972)より
吹き荒れる砂塵、UFOみたいなピロピロ音に続いてソフトロックを思わせるコーラスが入り、シンプル英語と長いギターソロという今のところ3曲続く基本セット。
後半2/3に展開がある。
このアルバムはいわゆるロックオペラを意識した感じなのだろうか。
組曲というか。
しかしどうも「I’m lost / Woman leave my life / Woman well you know」とか歌われるとハードな演奏も牧歌的に聞こえて仕方ない。
わたしが歌詞を重視しすぎるのだろうか。
知らんけど。

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