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助産師経験談 vol.7

精神疾患の患者さんのお話をしようかな
と思います。重いかもですが。


今日も寄って下さってありがとう。


今では統合失調症という診断名に
なったり、双極性障害と言ったり
昔でいう躁鬱症から色々分類されている感じ
がしなくもないですね。

今は鬱ばかりがクローズアップされてる気が
しますが、わたしは、人間は
バランスだなと思っているので
バランスがどこかに偏ったとすると
きっとどこかでその弾みというか歪みは
出るというかあると思います。

あ、これは、あくまでも持論、
一般論や医師の見解ではないです。


解離性同一性障害
昔は多重人格とか言われて
わたし自身も本を読みました
24人のビリー・ミリガン...
幼少期のトラウマで自分を隠したい一心で
生き延びるために24人の自分の仲間を作り
いろんな虐待か本当の自分だけは護った、
そのためには人を手にかけちゃう実話


Fさんは3人ほど、
彼女の中に存在していました。

多重人格という診断をする事すら
おそらくとても勇気が要る時代
だっただろうと
推察します。

Fさん自身は妊娠をわかっているけど
その他の皆さんは妊娠自体を
認識できていないし

男性も居たなぁ...
彼に妊娠は当然認識できないから
太って嫌だとか言う発言になってたなぁ...

Fさん自身で居られる時間の方が少ないため、
身体を労わることも
赤ちゃんを気にしてあげることも厳しく
切迫早産の状態もあっての入院。
しかも推定30週。

わたしは
Fさん自身の本心というか
本当のFさんがちゃんときっといる、
きっと届いている
と思って関わっていました。

ある時Fさんはわたしに
「眉毛を整えたいの、カミソリ貸して」
と言いますが
絶対貸せません。
どこを切るかわからない(汗)。
腕には沢山の跡もある。

眉毛整えるなら
わたしがやりましょうと
Fさんの眉カットをハサミだけでしました。
カミソリが欲しかったときの
分身ではもう無くなっていました。


すごく綺麗になって嬉しいと
はにかんでいました。
きっとこの時の彼女はFさん。

でもある時は
わたしを誘います。
誘惑です、病衣をはだけて
色仕掛けです。


だけどわたしは他スタッフより
Fさんに対して動じなかったんでしょうね。
奥にいて見ているだろうFさんに
話しかけてたから、かな。
実際全く動じてなかったし(笑)

だんだんわたしご指名になってきました(笑)

32週越えた頃
Fさんが一緒に病棟内を散歩してほしい
というので、ドクターの許可を得て
付いて歩きます。

ガラス越しに見える赤ちゃんを見て
Fさんは涙を流していました。

「なんでわたしこうなっちゃたんだろう..」

とボソっと隠すようにこぼしては、
何もなかったように
歩き出し、
また赤ちゃんの見える場所へ足が動く。

わたしは、Fさんの中に
お母さんを見ました。
愛を見ました。
感動しました。
この時にふと
この赤ちゃんは
生まれたがっているなと察知し
わたしの時だと思ったような気がします。

赤ちゃんのお父さんは
誰か不明なので
生まれた赤ちゃんは
お母さんの病状から既に養育は不可能と
診断されていましたので
赤ちゃんの行き先も決まっていました。

ただでさえ妊娠中って
ちょっとしたことで
不安になります。
経験上も本当にそう思います。
なのにFさんは産んでも
会えなくなると決まっている
我が子の出産を控え
自分の病状を嘆きまたその嘆きで
自分の病状が不安定になるという
悪循環に陥っていました。

赤ちゃんの成長発達や成熟度を考えると
34週は超えていてほしいんですが
きっと34週にはならないと思っていましたし
実際にFさんの赤ちゃんは
33週での陣痛を選びました。

本当なら33週なので
陣痛になる前になんとか止めようと
こちらはめちゃくちゃ努力をしますが
なんてたって
Fさんじゃないことが多いから
Fさんが陣痛で
叫んだことで
陣痛??いやもう生まれる!!!
って慌てて分娩室入室したんです。

夜勤明けで申し送りをしていたとき
病棟からベッドごとやってきたFさん
目が合った瞬間
呼びつけられ、
もうFさんのすごい握力でわたしは
その場を離れられません。
夜勤明けで帰れるはずが
帰れない...

続く(苦笑)^_^



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