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【インタビュー】音声ガイドナレーションのプロフェッショナル!恒松あゆみさんに聞く ~京都国立博物館名品ギャラリー音声ガイド収録現場から~

アコースティガイド・ジャパンのnoteへようこそ。

遅ればせながら、あけましておめでとうございます!
本年も、おススメの展覧会についてや、音声ガイド情報、ナビゲーターの方へのインタビューなど、様々な記事をお届けできればと思います。
どうぞよろしくお願いいたします😉✨

さてさて、2022年一発目は、スペシャルインタビューでスタート!
京都国立博物館名品ギャラリーで、ジュニア版音声ガイドの「わかばちゃん」役を務める、声優でナレーターの恒松あゆみさんにお話しを伺いました。

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―京都国立博物館のジュニア版音声ガイドは2020年12月から始まって、定期的に収録の機会があり、今回が3回目ですね。久しぶりの「わかばちゃん」、いかがでしたか?

恒松さん 音声ガイドって、企画展覧会の場合は一回きりじゃないですか。この名品ギャラリーのように継続してやらせてもらえる音声ガイドというのは結構めずらしいので、嬉しいです。今回で3回目ということで、「わかばちゃん、また会えたね!」という感じで、とても楽しく収録しました。

―今回収録したのは、1月2日からの「新春特集展示 寅づくし─干支を愛でる─」に出品される作品の解説がメインでした。“寅”に関するものがたくさん!気になる作品はありましたか?

竹虎図

恒松さん 尾形光琳の「竹虎図」です。もう、この口元が可愛すぎて・・・!子供のような「ムッ」という表情がたまりません。音声ガイドの解説にも出てくるのですが、虎なのにちっとも怖くなくて、猫みたい。ぜひ実際に見てみたいです。

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―“声の仕事”と一口に言っても、アニメや映画の吹替、テレビ番組でのナレーションなど、恒松さんは、とても幅広いジャンルのお仕事をされていますよね。音声ガイドだけをみても、一般的な解説ナレーションから、この「わかばちゃん」のように、キャラクターを演じながら解説するものまで、様々です。収録の時に、何か気を付けていることなどはありますか?

恒松さん そうですね。音声ガイドの場合は、やっぱり情報を伝えるということが第一なので、スムーズに耳に入っていくように、声のトーンですとか、しゃべりの流れというのは、アニメや映画で役を演じる時よりも、かなり意識している部分です。
一般向けのガイドナレーションでも、こども向けのキャラクターガイドでも、どちらも共通して気を付けているのは、聴く人にやさしいナレーションであるように、というのをいつも思っています。
こども向けのガイドの場合は、一般向けよりも声にのせるエネルギーがやや多くて、言葉をハッキリわかりやすくというのはもちろんなのですが、お子さんたちに、これを聴きながらワクワクしてほしいなと思うので、そういう気持ちを声にのせられるようにやっています。

―ご自身にお子さんが生まれたことで、ジュニア版ガイドへの取り組み方が変わった、なんてことはあったりするのでしょうか?

恒松さん ものすごい変化というのはないのですが、一人でも多くの方に聴いてほしい!という気持ちはより大きくなったかもしれません。もっともっとジュニア版のガイドに挑戦していきたいなとも思っています。
ジュニア版ではありませんが、特別展 「国宝 鳥獣戯画のすべて」(2021年、東京国立博物館 平成館)の音声ガイドでは、うさぎと子犬のキャラクターを担当させていただきました。実際、息子と一緒に展覧会を見に行ったのですが、とても楽しそうに音声ガイドを聴いてくれました。ガイドの中にはクイズもあって、挑戦して「やった~!」と喜んでくれたり・・・。その時、「見て、聴いて、体験できる」って、すごく素敵なことだなとしみじみ思ったんですよね。

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―今回収録した音声ガイドは京都国立博物館のものですが、恒松さんは、他にも全国各地、様々な美術館・博物館、観光施設、ショールームなどの音声ガイドナレーションを担当されています。恒松さんのような「声のお仕事」を目指している方に向けて、メッセージをお願いできますか?

恒松さん 音声ガイドナレーションのお仕事を続けて、もう15年以上になりました。はじめは、難しいとか、とっつきにくいというようなイメージが音声ガイドナレーションのお仕事にはありました。でも、色々とやらせていただくうちに気が付いたのは、「あ、そうじゃないな」って。
基本的な活舌とか、文章を正しく読み解く力というのは当然必要ですが、それ以上に、その絵画とか彫刻とか、解説する作品にちゃんと向き合って伝えるということが何よりも大事だなと思います。

アニメや映画のお仕事では「役として生きる」というのが大切なことの一つとしてありますが、こういうガイドナレーションのお仕事というのはやっぱり、近いところにいないと、と思うのですね。それは解説する作品に対しても、音声ガイドを聴く人に対しても、です。できれば、鑑賞している人の横に立って、一緒に作品を見ているような距離感で読むのがベストだと思っています。

ナレーションだから、といって力を込めて固く読むのではなく、読み手が感じたことを声にのせて、収録現場で出してみる。正しい情報を伝えるだけでなく、その作品の良さや面白さを伝えることも仕事なので、ディレクターの方と相談して、ディスカッションしながらやっていく。私はその時間がとても大切だと思うし、好きなのです。
そういう時に、臨機応変に対応して、投げ返せる力というのも必要ですよね。私も、これだけの時間をかけて皆さんに育てていただいたので、すぐにできることではないのですが、「声のお仕事」を目指す方には、最短距離を探そうとするのではなく、焦らずゆっくり、高めていっていただけたらと思います。

―恒松さん、素敵なお話をありがとうございました!

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恒松あゆみさんが「わかばちゃん」役を演じる、京都国立博物館の名品ギャラリー ジュニア版音声ガイドは、お子様だけでなく、芸術鑑賞ははじめて、というような初心者の方にもおススメです。ぜひ一緒に会場を歩いて回っているような気持ちで、楽しんでみてくださいね。
それでは、また👋(ウエムラ)

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アコースティガイド・ジャパン
https://www.acoustiguide.co.jp
Twitter: @ADaudioguide @kikubi_AG
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―京都国立博物館 名品ギャラリー音声ガイド

京博看板

【貸出会場】 京都国立博物館 平成知新館(京都市東山区茶屋町527)
【貸出料金】通常版・ジュニア版ともに1人1台550円(税込)
【言  語】日本語・英語・中国語・韓国語
【受付時間】9:30~16:15
【ご注意】
●通常版とジュニア版では、ガイドが付く作品が一部異なります。
●展示室外への音声ガイド機の持ち出しはご遠慮ください。
●名品ギャラリー開館期間のみの貸し出しとなります。特別展開催期間・庭園開館期間は、対応していません。

★展示作品に関する情報は、京都国立博物館公式サイトをご確認ください。

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