202006180044

友達の就職が決まった。

これで大学の学部の同じサークルの同期は全員進路が決まる。一人で生きていくチケットの半券を手に入れる。

僕は彼らの中では何もない人だ。
大学に入った時感じた事がある。

同じ偏差値で入った様な集団なのに、俺より頭が良くて、色んな経験をしていて、未来を語れる人達がいた。

誰しもがそんな人で、僕は何も持たない自分を恥じてる。今でもだ。

でも、誰一人として「お前が何もできないだけで、俺たちは普通だ」なんて言わなかった。
むしろ僕たちだってそんな事ない、頑張ってるとまで言っていた。

だけど、俺は思うのだ。
何かが、スタート地点からして違う何かを皆が皆欠けずに持ってるのだ。
厳密には、たまに欠けてる人を見たが、そういう人は得てして白い目を向けられていた気がする。

僕も、持ってるように見せてるだけで欠けてると感じていた。
ボロを出さないように、いっそダメ人間を馬鹿みたいに主張しようとした事も多々ある。

結局、朝井リョウの小説と同じで、心の底ではほくそ笑まれてたり呆れられてる事も多かった気がする。

僕は普通にもなれない下賤な人間だと思う。

何にもなりたくなかったし、なんでもなりたいとも思っていた。
だから自分の事一つも決めきれず、今も決意が揺らぐ。

こんな人間が信じていることは、普通になった彼らは僕にとって今も、

世界一つくらいなら変えてくれそうなくらいカッコいい人間だと思ってる。そう信じてる。

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