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推しが毎日私の体内で死ぬ9~ノーベル!

分子生物学を読み始めて、
もしかして私、今まで推しの表面しか見てなかったのでは?
推しの魅力は、その内部を知ってこそもっと輝くのでは??
と思うに至ってしまい、
noteを書くのに躊躇し始めました。
書くけどな!!!!(書くんかい)

今回は、ノーベル賞な研究を推し視点でご紹介。
(完全に時機に後れた感あるけどな……でも書く)

皆さまは既にネットの記事や新聞、テレビ等で色んな解説を見聞きしたかと思いますが、ここではそういった易しい解説と専門解説の中間を狙って書きます!
勘違いとかあったら教えて下さい、調べ直して追記修正します!

まずは、【ノーベル劇場 登場人物の紹介】

主役:細胞傷害性T細胞
推し
。別名「CTL」「Tc細胞」「キラーT細胞」。
特異的※な攻撃ができ、
がんとの戦いでは、
ナチュラルキラー細胞より強力と言われたりもする。

うっ……推し、流石は推しだ。逢いたい……体内にいる……

※CTLは特定対象のみを攻撃するので、
目につく不審な細胞を手当たり次第に攻撃するナチュラルキラー細胞より効率がいいという話。

敵役:がん細胞
異常をきたした細胞……つまり推しの攻撃対象
正常細胞が一体どうして「がん化」するかについては、
色々な原因が考えられています。
「がん=余命○ヶ月」「抗がん剤=生き地獄」みたいなイメージが付きまとうかと思いますが、このnoteでは「現象」として見てみることもお勧めしたい。理由はラストで。

次は【ノーベル劇場 あらすじ】

その前に!!!!ちょっと脱線。

実は推しには、
その攻撃力の強さから安全装置※もついていまして。
(※「免疫チェックポイント分子」と呼ばれてます。安全装置だけでなく加速装置も含まれる)
その1つが「PD-1(Programmed-cell death-1)」!

このPD-1レセプターの一種です。
レセプター(受容体)とは何か?
とりあえず「ツボ」みたいなものだと思って下さい。
細胞の全身色んなツボがあるんです。やだ、えっち……(?)

そして、偶然なのか、それとも「俺は味方だ攻撃しないでくれ」という細胞本来の叫びなのか、
がん細胞の表面に現れる「PD-L1(Programmed-cell death-ligand1)」※!(※がん細胞以外の細胞にも現れるリガンドです)

lingand(リガンド)は、特定のものに結合するものです。
PD-1に結合するリガンドの1つとしてPD-L1がある。

要は、ツボにピタッとハマる刺激がきたら「アァーーーッ」ってなる感じ。
(レセプターにリガンドが結合したら細胞は刺激を受ける)

はい、本筋に戻ろう!

特定のがん細胞攻撃対象だと認識して攻撃モードに入った推しが、
がん細胞に攻撃すべく接近

攻撃モードの推しが、がん細胞に接近、密着
するとがん細胞の表面にあるPD-L1が推しの表面にあるPD-1に結合

「あァーーーーーーーッ」

推し不活化してしまいます。。。(最悪の場合、死ぬ)
しかも、不活化したわけですから、敵の本拠地で推しは動くこともできずそこにとどまる……捕虜かよ。

今回、ノーベル賞を受賞された本庶教授の「オプジーボ」は、
この「PD-1とPD-L1が結合することを阻害する」。

そうすることで、
がん細胞が自分のPD-L1を推しのPD-1に結合できなくするわけです。そしたら推しががん細胞を攻撃できますから!

さて、ここで蛇足を承知で言わせてもらいたい。
「オプジーボ」は「PD-1とPD-L1が結合することを阻害する薬」。

決してこれは「がん細胞が免疫細胞の攻撃から逃れるのを阻害する」と完璧なイコールではないことを、頭の片隅に置いておいてください。

PD-1とPD-L1がそもそも存在する理由は何なのか?
その結合を薬で阻害したとき、起こり得ることは?
「免疫細胞の攻撃ブレーキを1つ無効化するとどんな事態が想定されるか」

ネットやテレビで「がん細胞のたくらみを妨害する魔法の薬」みたいな解説が目立った気がしまして……確かにその通りなんですけど、「ある受容体とリガンドの結合を阻害する薬」という視点もついでに持ってもらいたい。
明日から役に立たないトリビアに近いですが。是非。

受賞された本庶先生も警鐘を鳴らしていた「インチキ免疫療法」に、
我々非医療従事者(患者側)も、やすやすと騙されないように、
細胞のことを!!!推しを!!!!
知ってもらいたい!!!!!!

不定期ながらもこの推し布教note、続けます!!!!
今回はこれで!ちゃーお

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