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【掌編小説】 付喪神

そこを踏みつけちゃダメだよ
そこに物を置いちゃいけないよ

背を向けちゃダメだよ
その奥を覗いちゃいけないよ

いきなり とか
力任せに とか
黙って とか
躊躇わずに とか

たくさんのやり方を示され
僕らはそれを試してきた

おかげでうまくいくことが多かったけれど
なにかが違うと僕らは感じ始めていた

言われた通りにやっているけど
それだけじゃないなにかがあることに
僕らは気がつき始めたんだ

なにかはわからない
ただ
僕ら自身の内側から突き上がるモノ
それがなければ無理なんだって
そう気づき始めた

だってほら
あっちにもこっちにも
付喪神さまが腰かけてる

まずはきちんと挨拶をして
さぁ 始めよう

今日も一日よろしくね

信心深くもないくせに
見えないモノの力を信じてる僕ら


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