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群発頭痛


こんにちは!
今回の記事もすべて無料で読むことができますので参考にしていただければと思います。
更新が遅れてしまい申し訳ありませんでした。


では、本日は群発頭痛について解説していきますのでよろしくお願いいたします。

さて、こちらが頭痛の分類となっております。

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分類

もともと群発頭痛はタイプ別で分けられていましたが、第3版からは、三叉神経、自律神経性頭痛(trigeminal autonomic cephalalgias:TACs)の項目3.1群発頭痛 として分類されている。

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疫学

 有病率は10万人あたり55〜400人程度であり、発症年齢は20〜40歳代で男性が女性の3〜7倍と言われている。しかし近年では女性の発症比率も増加している。理由として、生活習慣の変化や喫煙が関係していると言われている。
 また、1年の中では2月と6月に多く、8月と11月には少ないという記載もある。

症状

 約90%が一側性の重度の頭痛発作が眼窩部、眼窩上部、側頭部の激痛が一定期間に集中して起こり1回の持続時間は15〜180分間継続する。1日の内でも何度も発作が起こることがある。発作頻度は1回/2日〜8回/日とされている。
 自律神経症状を伴い、頭痛と同側の網膜充血、流涙、鼻閉、鼻漏、前額部及び、顔面の発汗、縮瞳、眼瞼下垂、眼瞼浮腫、耳閉感、落ち着きの無さや興奮状態などが見られる。
 このような頭痛発作が数週間から数ヶ月間、同側に限局して発現する。

誘因

 アルコールやヒスタミン、ニトログリセリンを含む薬剤の使用。閉塞性睡眠時無呼吸症候群、体温上昇、昼寝などの可能性が示唆されている。

病態

 こちらも未だ解明されていません。
現在はサーカディアンリズムの異常による視床下部が発生源とする説や
ニューロペプチド三叉神経血管説、内頚動脈周囲起源説、三叉神経過剰興奮副交感神経活性化説などが提唱されている。

では一つ一つを解説していきます。

視床下部起源説
 群発頭痛では体内時計に関連したメラトニンなどに変化があることから、視床下部に変化が起こっていると考えられる。また、群発頭痛発作時には視床下部後部の活性化も報告されている。しかし、これだけでは、自律神経症状や酸素吸入などの治療機序について説明ができない。

ニューロペプチド三叉神経血管説
 三叉神経に作用し神経終末からCGRP、VIPといった血管作動性のニューロペプチドの放出がおこるとする説。
CGRPは血管拡張物質であり、眼窩周囲の神経原性炎症が惹起され疼痛が生じると考えられている。頭痛発作時には頚静脈中のCGRPやVIPが増加されることも報告されています。 また、実際に群発頭痛患者はニトログリセリンなどの血管拡張薬や飲酒により発作が誘発され、逆に血管収縮薬が頭痛に有効であることから、発作中は血管の拡張が生じられると推測された。

(内頚動脈周囲起源説)
 頭痛症状の他に自律神経症状を伴うことから、眼窩の内頚動脈周囲にある海綿静脈洞の浮腫により、三叉神経が分布している組織への圧排が関与する説。 ただ、内頚動脈周囲起源説を含めて、ニューロペプチド三叉神経血管説ということもある。
 
よくじっとしていられないなどと言うが、頭部や体幹を激しく動かすことで頭部の静脈血のうっ血が改善し同部位の浮腫が軽減し、痛みが軽減しているのではないかと言われている。

三叉神経過剰興奮副交感神経活性化説
 三叉神経の活動が高まり、この興奮が上唾液核に及ぶ結果、翼口蓋神経節から頭蓋内の大血管や涙腺、鼻粘膜にいたる副交感神経系が興奮し、自律神経症状も併発すると考えられている。
 国際頭痛分類第2版において、TACsが加わり、群発頭痛がTACsに含まれたことから、この三叉神経過剰興奮副交感神経活性化説に注目されるようになった。

鑑別

 一次性頭痛として
○ 発作性偏頭痛
○ 短時間持続性片側神経痛様頭痛発作
○ 持続性偏頭痛
 
 それ以外
○ 睡眠時頭痛
○ 副鼻腔炎
○ 前頭洞炎
○ 緑内障
○ 下垂体卒中
などがあげられる。

まず、一次性頭痛との鑑別から。

発作性片側頭痛
 男女比では1:1.6くらいとされ、やや女性が多い。平均発症年齢は30歳前後。
一側の眼窩、眼窩周囲、および側頭部などに出現する非常に激しい群発頭痛と類似した痛みが特徴。
頭痛と同側に流涙、結膜充血、鼻閉、鼻汁、前額と顔面部の発汗、縮瞳、眼瞼下垂、眼瞼浮腫などの自律神経症状が出現する。
しかし持続時間は2〜30分と短いことが群発頭痛と異なる。


短時間持続性片側神経痛様頭痛発作
 男女比は1:1.5でこちらもやや女性が多い。
頭痛は刺痛であり、一側性の中等度から重度の頭痛発作が1〜600秒持続し、頭痛側と同側の流涙、結膜充血が起こる。


持続性片側頭痛
 男女比は1:2で女性が多く、平均発症年齢は28歳。
痛みは前頭部に認められることも多いが、側頭部や後頭部にも出現する。
持続的な痛みが増悪することもあり、疼痛側と同側の流涙、結膜充血、鼻閉、鼻漏、眼瞼下垂、縮瞳などを認める。


上記の鑑別をまとめるとこのようになります。

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睡眠時頭痛
 睡眠中にのみ頻回に繰り返し起こる頭痛発作。おおよそ4時間ほど続く。
通常、50歳以降で発症するが若年者でも発症する。
痛みは6割弱は両側性と言われている。
インドメタシンやカフェイン、メラトニンの有効性が確認されている。

副鼻腔炎 
 目の周囲や前額部に持続痛を認め、眉間や頬を叩打すると痛みが生じる。

前頭洞炎
 前額部痛や眼窩部、眼窩後部の痛み
 また、片側性の鼻閉、鼻漏を伴うが、頭痛発作と同時に発現しているか、また、鼻症状が水性か膿性かの確認をする。

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早急な鑑別が必要な疾患
 →確定診断のためにはMRIなどによる脳血管も含めた精密検査を行う必要がある。

緑内障発作
 中年以降で悪心、眼痛、視力異常を伴う激しい頭痛。
失明の危険があるため早急に受診を促す。

下垂体卒中
 重度で急性の眼窩後部、前頭部、頭全体の痛み。
悪心、嘔吐、発熱、意識障害、低血圧、眼筋麻痺、視力障害などいずれかが見られたら疑う。

治療

基本的には薬物療法(割愛します)
急性期ではスマトリプタン皮下注射と酸素吸入の併用が中心。

薬物療法以外の治療法として
三叉神経ブロック、星状神経節ブロック、大後頭神経ブロック、翼口蓋神経節ブロックなどが行われる。
また、三叉神経根切除や翼口蓋神経切除なども行われる。

痛みの急性期、予防治療、群発期にはアルコールを控えるなどが必要である。

欧米ではニューロモジュレーション治療が行われることもある。
ニューロモジュレーションとは?
 埋め込み装置を使用した翼口蓋神経節刺激術では急性治療として有意な効果があったと報告されている。
 が、安全性について検討がされている。

また一般向けのウェアラブル装置としても現在開発が行われています。

などなど今後拡大していきそうな市場ですね。


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今回の記事が少しでも皆さんのお役に立てれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!



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