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本とコーヒーの関係性@ベオグラード

国際学会のため、セルビアのベオグラードに来ている。日本語ではセルビア語の通りベオグラードというようだが、英語だとBelgrade(ベルグレード)であるためややこしい。過去二年のコロナ禍で、ロックダウンする国が多いヨーロッパだったので、多くの場合海外に出張しなければならない学会はほとんどオンラインに切り替わった。今回はコロナ後初めて国外での学会である。

研究分野にもよると思うが、私の行くような認知科学、心理学、音楽関係の学会は中央〜西ヨーロッパで行われることが多い。大雑把にまとめるとEU圏内(特にドイツ、フランス、オランダ、デンマークあたり)である。今回はEU圏外のセルビアということで、開催場所としても珍しく旧ユーゴスラビア圏が好きな私としては期待大で飛行機乗った。

私は大体一年に二回ぐらい学会に参加して自分の研究を発表するようにしている。私の研究は複数の分野の間に位置するような学際的な位置付けなので、自分の所属学部の専門とは異なった学会に参加することで、新たな視点がもらえることが多い。例えば私の場合は認知科学部に所属しているが、音楽を使った実験をしているので、発表する学会は音楽研究の専門家が多い音楽心理学系が多い。

学会も一日で終わる短いものから長いもの、色々あるのだが今回は五日間にわたる比較的大きな音楽心理学の大会で、そういうときこそ地元の居心地の良いカフェを探すことは私にとっては必須である。学会の間に飲み物や軽食が提供されるのだが、常に誰か(それもほとんどの場合その場で出会った人達)と話をすることになるので、学会を抜け出してホッと自分の時間を作れる地元のカフェは大切な居場所である。

今回も既にいくつかのカフェに目星をつけたが、今この記事を書いているのは『BOOKA』という本屋とカフェが一緒になったお店。蔦屋書店や神保町ブックセンターなど、日本でも本とカフェ(さらに限定させてもらうならコーヒー)という関係性はよくあると思うが、ざっと街中を歩いた感覚で言うとカフェがものすごく多い割にはこう言う複合的なコンセプトのお店はここぐらいしか見当たらない。本以外にも本とコーヒーにまつわる雑貨が置いてある。セルビア語なので張り紙などが何一つ読めないが、もしかしたら本にまつわるイベントなんかも企画しているかもしれない。

ここは昔のスタンダードブックストアみたいに、カフェの中で本を試し読みできたりはしないのだが、買った本を早速座って読み始めるもよし、本が並んでいる様子が好きな人はこの絶景を見ながら飲み物を楽しむもよし、本屋とカフェの間を揺らいでいるような、何屋さんと言い難いゆるい雰囲気を醸し出している。

直感的に本とコーヒーって相性が良いのはわかるのだが、一体何がそうさせるのだろうか。本を読んでいるときの相棒がコーヒーという、本を読むことを主体にコーヒーが装飾というような位置づけも考えられるし、人によっては私のように、コーヒーを飲みたいがために、本を読んだりブログを書きに行ったりする人もいるかもしれない。どちらに主従関係があるとも不思議な関係だと思う。

ちなみにセルビアのような東欧の国に行って、あまり何も考えずにとりあえずコーヒーを頼むと、泥みたいに苦いコーヒーが出てきて辛い思いをするかもしれない(砂糖を大量に入れれば飲めないこともないと思うが…)。無難なものを飲みたい場合はカプチーノなどのミルク入りコーヒーを注文することをおすすめする。ただ最近の洗練されたカフェではそもそも昔ながらの伝統的なコーヒーは売られていないので、そういう経験をすることも少なくなっているように思う(古い駅とかバスターミナルにはまだまだ昔ながらのコーヒーを出すところも多いと思うが)。コーヒーというものが均一化され始めているのだろうか。