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【なぜあなたの農業は儲からないのか】 自社に付加価値をつける。

静岡県浜松市で柿の栽培している柿農家が農業で食べていけるようになるまでに何を学んだのかを書いていくブログです。農業経営者の方、新規就農者、就農を志している方、農家の2代目の方におススメのブログです。

柿

自社の付加価値を高める。
MG(マネジメントゲーム)を学び、私が大切だと思ったことの中で「付加価値を高める」ということがあります。皆さんは付加価値ってなにかわかりますか?
ここでいう付加価値とは、売り場に同じような商品が並んでいた時、一方の価格が高いにも関わらずその商品が選ばれる、その時の差額のことを言います。
よく農業界隈では、差別化をしよう、ブランド化をしようと、皆さん一生懸命になっています。私も同じように、どうしたら差別化が出来るかいろいろと試してきました。
MGを学ぶようになって感じたことはその差別化の活動が利益に反映されているのか?ということでした。

先日のブログで農業の儲かりにくい構造をお伝えした時にも言いましたが、農産物は商品の差別化がしにくい商品です。近年は特に栽培技術が向上していますから、きちんとした栽培をしていれば、農産物の味に大きな違いはありません。おいしいのが当たり前の時代になっています。現代において味での差別化は大変難しいと思います。
しかし、多くの農家の皆さんは味で差別化したがります。栽培方法を工夫してみたり、値段の高くて良い肥料を使ったりします。品質を求めることは悪いことではないのですが、ビジネスとしてやっている以上、利益につながらなくてはいけません。
パッケージや包装をかわいい物にしたり、かっこいい名前も付けたりする農家の方もいらっしゃいます。しかしそれも本質的に差別化にはつながりません。なぜなら他の農家さんでもお金を掛ければ同じことが出来ますし、大きい企業はもうやっているからです。
差別化とは他の人がまねできない部分を作ることです。それに価値があれば付加価値になります。


農産物での差別化は難しい、、、そこで当園では自分の会社自体に価値をつけようという方法を取りました。
「この野菜を買うなら○○農園だよね」
と言ってもらう状態にすることです。具体的に当園がやったのは


【お客様との直接取引の場合】
 初秋に季節のお便りを送って柿の販売をお知らせする。
 ブログやSNSをこまめに更新して栽培の状況を伝える。
 お使い物の需要が高かったのでパッケージを季節感と高級感のあるもの
 にする。
 直売所を清潔感があって、にぎやかなものにする。
 (作業場もきれいにする)
 直売の時、お客さんと良く話す。
 お世話になった人にハガキを書く。


【卸業者さんと取引の場合】
 決められた出荷量をきちんと守る。
 取引先の提出書類は期限を守る。
 打ち合わせの時には清潔感のある格好で臨む。(作業着で会わない)
 相手が困っていたら出来る限り協力する。
 お世話になった人にハガキを書く。

当たり前と言えば当たり前のことが多いです。なんだ、こんなことと思う人も多いでしょうが農家は意外とこれが出来ていないのです(笑)だからこれだけで結構差別化になります。
丁寧な対応や細やかな対応をしていくことで少しずつですがファンが増えてリピーターが多くなってきます。
選ばれることがより多くなれば、それは差別化が成功して付加価値が増えたということになります。


この時に一番注意してほしいのは、お客様が本当にそれを望んでいることか?ということです。物事を自分目線で見ていると、どうしても独りよがりや会社都合のやり方になってしまうことがあります。そうではなくてお客様が求めている物は何か?ということをお客様目線でやっていくことが大切です。
例えば私が失敗した事例ですが、
あるイベントで「柿の詰め放題」を行いました。こちらとしては大出血サービス!なのですが、いまいちお客さんの反応が悪い、、、お客さんの話をよく聞くと「柿の袋を持つのが重い」ということでした。
そのイベント会場は駅からも遠く駐車場も多くない場所でした。歩きで来ている方が多く、詰め放題では袋が大変重くなって持ちたくないという意見が大変多かったです。こちらは良かれと思ってしたことなのに自分目線で見ていたために逆効果になってしまいました。


当社ではお客様が何を求めているかを知るために直売所に来てくれた方にアンケートを取りました。
そこで「季節感」というキーワードをお客様自身から知ることが出来たので、このような方法をとり販売数を増やすことが出来きました。先日の内容の「自社の現状を知る、自分を知る」で自社の特性を知ることができたと思います。その中でお客様が自分の会社に求めている物は何かを探してみてください。もしくはお客様自身に聞いてみてください。
そこに付加価値をつけるヒントが隠れていると思います。

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