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メタバース演説会はあり!今後は本気で考える時代になりそう!

2022年6月5日の18時から、自民党青年局がメタバース内での演説会を行いました。

https://cluster.mu/e/3683e17c-fec1-4f4a-b066-5782fb9f348d
自民党 青年局メタバース演説会

自民党の主張がどうこうはさておき(え?w)、メタバース内でどこまでやれるのか、ログインしたユーザの反応はどうなのか気になるので、ログインして見学してきました。

なかなか面白い試みだったので、その辺を忘れないうちに書いておきます。

多分、自民党よりも、野党の議員の方々が気になると思うので(笑)、改善点も含めて考察しておきますw

クラスターを利用したメタバースで実施

今回の演説会は、日本の企業であるクラスター株式会社が運営するメタバースプラットフォーム「cluster(クラスター)」です。

https://corp.cluster.mu/
株式会社クラスター

特徴としては、スマホ(iPhone、アンドロイド)でも、パソコン(Mac、Windows)でも、そして、Oculus RiftやHTC VIVEといったHMD(ヘッド・マウント・ディスプレイ)にも対応しています。

ちなみに、今回の演説会では、議員さんたちは、HTC VIVEを使っていたようですね。

clusterは、単にログインして中で遊ぶだけでなく、ワールドという自分で仮想空間を作ることも可能です。

今回の演説会は、学校の校庭のような場所になっていて、校舎のような建物があり、中は机や椅子が置いてありました。

教室の中

また、演説があった場所は校庭のようになっていて、演説する人は一段高い「校長が立つ台」に上がって話をしていました。

台を後ろから見たところ

なかなか上がれない議員や、牧島議員は上がってから落ちてましたw

このようなワールドを作ることができるのがなかなか面白いメタバースです。

ちなみに、数多くのメタバースのサービスがあるのですが、自由に世界を作れないものもあります。

中には、土地を購入するなど金銭的負担が大きいメタバースもありますよ。

なお、clusterは、NFTには対応していませんので、NFTアート作品を展示したいといった場合は、使えないのでご注意を。

議員さんのアバターは?

河野太郎議員

アバターで登場した河野太郎広報本部長、小倉將信青年局長、今枝宗一郎青年部長、川崎ひでと青年局次長は、アバターメイカーで作られているっぽい。

倉將信青年局長、今枝宗一郎青年部長、川崎ひでと青年局次長

https://clusterhelp.zendesk.com/hc/ja/articles/4409173234969-AvatarMaker-%E3%82%A2%E3%83%90%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%82%AB%E3%83%BC-%E3%82%92%E8%B5%B7%E5%8B%95-%E4%BF%9D%E5%AD%98%E3%81%99%E3%82%8B

AvatarMaker(アバターメイカー)を起動・保存する

牧島かれんデジタル大臣

牧島かれんデジタル大臣は、VRoidで作られてるっぽいです。

牧島大臣のアバターは、常にクネクネ動くモーション(動作)が入っていました。

クネクネ動いているのでタイミングを合わせると、こんなツーショットが!w

キャラに寄せたのか、声がアニメ声っぽくて、Twitterなどを見ても、「かわいい!」という投稿が見受けられますw

こういうアバターのデザインをどこまで本人に寄せるのか、それとも、デフォルメするのかなど、今後の悩ましいところ。

また、アバターの「身長」という要素も非常に重要で、大きいと目立ちますが威圧感が出てきます。

かといって、小さいと見下されるようになるので、それはそれで別の問題も・・・。

アバターなんて本人と関係ないと思いきや、こういうのが無意識に影響してくるのですよね。

メタバース演説などが広まれば、アバターコーディネーターとか、アバタースタイリストといった職業が出てくるでしょう。

メタバースだからこその制約が!

さて、メタバースは、仮想空間なのでいくらでも巨大な空間で何万人でも集められそうですが、実際はそうもいきません。

サーバの性能や接続されているインターネット回線の速度によって、同時にログインできるユーザ数の制限や、空間の大きさなどの制約が出てきます。

clusterの場合、イベントでは、最大500名が同じ空間内にログインでき、そのうちの100名のアバターだけが表示されます。

残りの400名はゴーストと言われるアバターが表示されない状態になるのです。

これだけ見ると閑散として人気がないように見えてしまう

400名は画面を見ているし、チャットにも書き込めるのですが、その人達のアバターは表示されない状態になっています。

こういうclusterの制約があったので、最大500名ということになったのです。

参考

https://clusterhelp.zendesk.com/hc/ja/articles/360040448572-%E3%82%A4%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%88%E3%81%A8%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89%E3%81%AE%E9%81%95%E3%81%84

イベントとワールドの違い

他のメタバースでも、いろいろと制約はあります。

もっと多くのユーザが同時にログインできるのもありますが、画像が粗かったり、アバターも簡素化されたロボットのようなものになるといった制約があります。

結局、仮想空間といえども、物理的にコンピュータの性能やネット回線の速度といった条件に縛られるのです。

(あ、正確には、経済的な制約ですね。無尽蔵にお金が使えるなら、巨大なデータセンターを作ってとんでもない速度の出る回線を使えばいいのでw)

こういう制約があることを知らない人たちが、「画面を見る限り、数十人しか集まっていない」、「延べ人数で1000人しか集まらないのは人気がない証拠」などと言ってますが、無視しましょうw

メタバース演説での荒らし対策

メタバースは、一般のユーザがログインしてくるので必ずしも賛同者だけが集まるわけではありません。

今回のように政治活動となると反対意見を持つ人も入ってくるでしょうし、中には目立ちたいだけで騒ぎにくる連中もいます。

そういった『荒らし』対策は非常に重要です。

今回のメタバース演説会で行われたと思われる対策について見ておきましょう。

(あくまでも、私の個人の見解です。運営側に確認したわけではありません)

1)アバターは5種類から選択

本来、clusterは自由にアバターを変更することができます。

服装や持ち物だけでなく、動物のアバターにするといったことも可能。

しかし、今回は決められた5種類から選ぶしかありませんでした。

先のサーバを重たくしない(個々バラバラのデータのアバターだと処理が大変)というのもありますが、例えば、『自民は解散しろ!』と書いたTシャツを着たアバターが入ってきたらどうでしょうか?

あるいは、素っ裸のアバターがいたら・・・

こういったことを防ぐために、決まったアバターからしか選択できないようになっていたと思われます。

2)ボイス利用禁止

clusterにはボイス機能が備わっていて、ユーザ同士で会話ができるようになっています。

今回の演説会では、その機能はオフになっていて運営側の議員アバターのみがボイスを使えるようになっていました。

音声が使えるとなると、野次を飛ばしたり、意味不明のことを叫んだり、大音量で音楽を流したりするといった迷惑行為が出てくる可能性があります。

ただし、チャットは制限されていなかったので、そこで野次を飛ばすといったことはできますが、画面の一部に表示されるチャットよりも議員の話声に耳を傾けますし、議員のアバターを見ているので、大きな影響はないかと思います。

そもそも、チャットはどんどん流れていくので、否定的なことを書かれても気にする間もなく消えてしまいます。

3)立ち入れない場所の設定

今回の演説では、議員アバターは台の上に上がって演説するのですが、その台は議員アバターしか上がれないようになっています。

一般ユーザではその台の近くまでは行けるのですが、そこから先には進めないようになっていました。

また、控室もあるのですが、そこにも一般ユーザは入れないようになっています。

一般ユーザが立ち入れない控室

リアルでの立会演説で、このような立ち入れない場所を作ろうとすると警備員を配置し、許可証を発行するといった大掛かりなことになります。

しかし、メタバースでは簡単に設定変更するだけで一般ユーザは入れなくなります。

言い換えれば、このことで警備員のアバターなど不要なので、後でも書きますが議員さんとの距離が縮まったように感じます。

メタバースならではの効果

今回のメタバース演説会で分かったことは、とにもかくにも時間と空間を共有できた、同じ体験をできたという感覚があったこと。

リアルの立会演説のようにはいかないですが、逆に立ち合い演説ではなかなか難しい演者と集まった人との一体感は大きいと思います。

例えば、河野議員が、

「北海道から来た人、ジャンプして―!」

と呼びかけて、それに応えて数人のアバターがジャンプ!

東北の人、四国の人など、いろいろと呼びかけて、ジャンプするアバター。

そうやって、観客との一体感が生まれてきます。

リアルの立ち合い演説では、手を上げてもらったり、拍手してもらうとかできるかもしれませんが、なかなか人目のあるところで手をあげるとか難しいですよね。

その点、アバターだと他人の目を気にすることなく『ジャンプ』することだってできるのです。

また、clusterには、手を上げるとか拍手などの簡単な動作や、ビックリマークなどのレスポンスをボタンをクリックするだけで返すことができます。

これらの反応があることも、お祭り気分で楽しくなる要素です。

そして、何よりも面白い演出だったのが、最後に議員さんたちがユーザのアバターたちと次々にハイタッチをしてくことでした。

先にも書いたようにアバターの手を上げる動作は簡単にできるので、議員さんも手を上げてハイタッチして回ります。

もちろん、リアルではないので、警備員などもいません。

そして、「○○さん、ありがとー」って表示されいてるアバター名を言いながら回っていくのは、さすがです!

非常によく練られた演出でした。

議員さんたちが去った後のユーザ同士でのチャットを見ていても、「楽しかった」、「面白かった」という感想が多くみられました。

ここ数年、コロナ禍にあって握手ができない議員さんたちにとっても、嬉しい体験だったのではないかと思います。

今後のメタバースでの政治活動

おそらく政党の活動としてメタバース内で講演会を行うというのは、初めてではないでしょうか。

仮想空間セカンドライフでも、アバターで講演などを行っていた議員もいましたが、あくまでも個人の活動として行っていて、党の活動としてはやっていなかったと思います。

https://www.rbbtoday.com/article/2007/05/30/42264.html


自民党は参院選を睨み、野党が動く前に電撃的にメタバースでの演説会を実施しました。

急に開催したので野党も対抗してイベントを仕掛けることもできず、TwitterなどのSNSだけでなく、ニュースメディアも自民党のメタバース演説会を取り上げていました。

この効果は大きかったと思います。

他の政党は、今、必死で追いつこうとしていると思うのですが、今回の自民党青年局のメタバース演説会を越えるものを提供していかないと、比較されるので厳しいと思います。

アバターでハイタッチして回るというのも、それなりに練習しておかないと何をどうしていいのか分からなくなります。

そして、機器のトラブルを避けるためにもスタッフも控えていてすぐに対処できるように備えておかなくてはなりません。

話題作りも必要ですし、Z世代と呼ばれる人達を巻き込んでいくためにも、メタバース講演会は当たり前のようになっていくと思われます。

そこでやるべきことは、たった一つ。

メタバースならではの体験をどれだけ用意できるのか?

ここができていないと、現実の置き換えになってしまって、「実際に駅前で立会演説しないとダメだよね・・・」になってしまいます。

そういう意味では、牧島デジ庁大臣のアバターのキャラをしっかり作り出した演出は、一歩抜きんでたように思います。

どう見られたいのか、どのようにアバターを演出していくのか、そして、アバターの中での人気を得るためにはリアルとバーチャルを掛け算で価値をあげていくのかが勝負。

なかなか面白いことになりそうです。

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