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課題をずらすスキルとセンス〜源氏物語の彼女

源氏物語作中人物の香水
源氏物語の作中人物の香りを創る。修行中にはそんな課題もありました。それがきっかけで源氏物語の人物について自分なりの見解を持ちました。
一番好きなのは朝顔斎院
光源氏との過去はグレイゾーンですが、どんなにいい寄られても拒絶する、他の女性たちとは違うやり方で好きな人の心に残りたい、そう決意した彼女の行動が光源氏をふる、だったわけです。「いかで人に似じ」という彼女の意地とプライドに頭が下がります。

(そんな話をしたら同じ修行仲間から「adamsに通じるね」と言われて嬉しかったことを覚えています)

朝顔斎院は別格にして、作中人物を思い返していくと、
共感できる人が明石御方、面倒な人と思うのが紫上花散里、同性からすると実は怖い夕顔、悲劇のヒロインは敬遠したい浮舟、浮舟と同じような決断なのにその選択に畏怖の念を抱くのは大君、見てる分には楽しい近江君、という感じでしょうか。お話しして見たい人は六条御息所。

手腕が試される香り比べ
梅枝の巻に有名な姫君たちの香合の場面が出てきます。参加した女性たちの感情や戦略について以前NOTEに書きました。

私の好きな朝顔斎院はエレガントに我が道を行くので競うつもりもないけれど、正妻への忖度もない。結果は四人の姫君それぞれが上品さならこの人、攻めならこの人、といった具合に各人に花が持たされて終わります。安堵。

圧巻なのは明石
それでも私はこの巻での明石御方の着想と決断に軍配を上げたいと思うのです。先のNOTEでも触れた彼女の見事な戦略は、言い換えれば”ずらしかた”のセンスであったと思うのです。

課題を”ずらして”みることができる人は、物事を構造的にとらえられる人なのだと思うのです。(視点をずらす、解釈をずらすことで構造が見えてくる)
目の前の関係性に翻弄されることなく、事態を”再解釈”する。
スタンスとしては張り合うことも、卑下することもなく、自分の活躍のさせ方を知っている人。

別の場面で、新年の晴れ着を姫君贈る際に、明石の御方のために光源氏が用意した胡蝶をモチーフにしたそれが何とも優美で気品にあふれ、紫の上が「心外」に思ったという場面が出てきます。
(宿命的な導きで正妻にになった紫上の心情を通して明石の魅力が伝わるとても巧妙な描写)
マウントもしないけれど自分を卑しめることもない。
明石御方の努力の方向性が私は好きなのかもしれません。

#note100日
#コルクラボ
#adams

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