見出し画像

中国屏風 1月26日〜365日の香水

ジャポニズム、オリエンタリズム
19世紀末のパリ万博で初参加した日本からもたらされた伝統工芸や生活芸術がアールヌーボーの起点になったと記憶している。以後、ジャポニズムは定期的に特にパリでブームが起こる。数年前も日仏友好150周年のいろいろな催しがパリの美術室やレストランで開催されていた。
実際のところはわからないけど、フランスの日本趣味、日本もフランスが好きという根本は「お互いがお互いをかいかぶってるから」と、好意的に解説されてたのが好きだった。
万博で目を引いた生活芸術の一つが屏風だったという。自由に空間をつくること、蛇腹のような構成の面に(多くは)アシンメトリーに描かれたモチーフ、それが昆虫や秋草といった“些細なもの”であったこと、そこに斬新で繊細な美意識を発見したという。
オリエント(東方世界)のいろいろな生活美術、工芸がもてはやされていく。

コロマンデル
これはインドの南東部の長い海岸を指してもいうそうだが、中国の漆の屏風のことも言う。コロマンデル海岸、コロマンデル屏風と使い分けるらしい。どうして同じコロマンデルなのかどちらかにゆらいがありそうだけれど。
漆製の中国家具は私も引っ越しの時にインテリアの候補にしていた。蝶や植物モチーフのそれらには美しさもあったけれど何とも言えない愛らしさがあった。
シャネルは確か親友のミシアセールに中国の屏風を教えられ一気に魅入られて自室の居間に誂えたはずだ。
そういえば、コロマンデル屏風の色彩は黒、ベージュ、アイボリーとシャネルがエレガントだと規定した色使いにほぼ近い。彼女の美意識に通底した構造がそこにあったのだろう。

coromandel/chanel
ココシャネルの伝説を彩るファクトを香りにするシリーズで、数十は出ていたはず。コロマンデルもその一つだが、あらためて、シャネル社のブランディングが「ココシャネル」に集中していることが伝わってくる。ラガーフェルドの後期くらいから顕著なので、この帝王自身もココシャネル伝説がこのメゾンの生命線と見通したのかもしれない。コロマンデルの調香師は長くシャネルの主任調香師だったジャックポルジェ。
アンバーとウッディの香調は漆黒の面に魅力的なモチーフが踊る中国屏風の質感そのもの。
加えてシャネルの部屋の屏風は威厳のあるデザインだった印象があり、その“厳かさ”も持ち合わせていて、相変わらずジャックポルジェの手堅いところを感じる。シャネルの名香「COCO」の系譜で、空気の冷たい中で装いたい香りの一つ。

香り、思い、呼吸。

1月26日がお誕生日のかた、記念日の方、おめでとうございます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?