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andmore!!

あなたは今、
階段の下に居る。福島県福島市飯坂町カフェ
ひらながの階段の下までやって来た。
古風な建物。
ガレージのような1階。バイク。
階段は思いの外、急で、勢いをつけて2階まで上がる。
引き戸をカラカラと開けて中に入る。
左手から声がかかる。 
声の主は
永井さんであるが、しかし、あなたは永井さんを知らない。
こんにちは。
窓際へどうぞ。
導かれるままにあなたは窓際の席へ座る。
2階から飯坂町を見渡す。
目の前に鯖湖湯が見える。
後ろを振り返る。
奥にコーヒーを淹れている男性の姿が見える。
平野さんである。がしかしあなたは平野さんを知らない、まだ。
半袖短パンの男が奥のカウンターで何やら
話している、季節は1月。
雪が、舞っている。
およそ季節感を感じないその男はしなもんである。
があなたはまだ知らない。
メニューに目を落とす。
一緒に来る予定だった友人からホットケーキが
美味しいと聞いていた、
ホットケーキ。
パンケーキではなくて?と
話を聞いた時に
頭を過ぎったけれど
ホットケーキとパンケーキの違いなんて正直 
よく分からないし、些細な事だ、
どちらも美味しいじゃない、と思い直す
ホットケーキを注文して
再び、窓から飯坂町を見渡す
半袖短パンの男が視界を横切る
えっ?
あなたは、また、後ろを振り返る
さっきまでいた季節はずれの薄着の男は
すでに見当たらない
あなたがメニューに目を落としていた時間
しなもんは会計を済ませて走り出していた
奇妙な違和感の正体は何なのだろう?
既視感?
そう、既視感だ、
デジャブと言い換えてみてもいい
because
なぜならあなたはすでに出会っている
何に?
いや。
誰に?
これは運命なんかじゃない
やがて
ホットケーキが運ばれてくる
自然と口ずさんでいる
ロックユー
おはよう
土曜日
おはようございます
サタデー

雨ニモマケズ 風ニモマケズ